M・アンドリーセン氏が考える2012年--「ソフトウェアが世界を飲み込む」 - (page 3)

Paul Sloan (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年12月26日 07時30分

--では、2012年に脅威を感じるのは誰なのでしょうか。

Andreessen氏:2012年は、小売(小売店)が本当の意味で重圧を感じ始める年になると思います。小売店が嫌いだから言っているわけではありません。わたしはBordersに行くのが大好きです。それは素晴らしい消費者体験だと思っていました。Tower Recordsも大好きでした。

 しかし、Eコマースの生存力が増し、これらのカテゴリキラーが超垂直市場で台頭していくにつれて、経済的な重圧が極めて大きくなってきています。もしわたしが市街地にショッピングモールの不動産や小売店を所有していたら、あるいは電子機器チェーン店のようなチェーン店を所有していたら、懸念を抱くでしょう。電子機器やアパレルの業界は特に大きな重圧を受けると思います。家具業界も重圧にさらされるでしょう。小売店モデルを正当化することがますます困難になっていくでしょう。

 このモデルは、すべての店舗がそれぞれ在庫を持ち、倉庫にもなる必要があるという、根本的な問題を抱えています。各店舗にのしかかった全在庫の経済的な重荷がBordersを経営破綻に追い込みました。

 小売店は非常に低い利益率で営業しています。そのため、Eコマースが5%、10%、15%と食い込んでくるにつれて、小売店として事業を続けるのは困難になっていきます。2012年は、それが本当に始まる年となるでしょう。

--既存のEコマース企業にとっては、好ましいことではないでしょうか。

Andreessen氏:Amazonは非常に良い業績を上げるはずです。Eコマースの主要企業はどこも順調にいくでしょう。しかし、Eコマースの垂直市場における新興企業は、むしろ娯楽としての買い物に近い、非常に差別化された顧客体験を提供しています。

 Fabにはとても面白い製品とマーチャンダイジングがあり、それを非常に深いレベルでのソーシャルな交流によって、興味深い方法で提示します。Fabのブラックフライデーの週末における販売は、約25%がFacebookでの紹介によるものでした。そこには、買い物の純粋な楽しみという要素や、完全なエンターテインメント要素、そして刺激的な要素があります。最初の世代のオンライン小売企業は、これらの要素をあまりうまく提供できていませんでした。

--Amazonのようにですか。

Andreessen氏:最初の世代のオンライン小売企業は、マニアにとっては非常に良いものだったと思います。Amazonのことは大好きで、わたしにとっては史上最大の倉庫型スーパーストアのようなものです。非常に素晴らしいものです。わたしは商品棚の間をあちこち歩き回るのが好きです。「ほら、あれを見てくれ」といった具合ですね。十分に検索すれば、何でも見つかります。

 新しい世代のオンライン小売企業は、一般の人々にとってさらに魅力的なものです。一般の人々というのは、ショッピングモールに行く、友人と楽しいひとときを過ごす、服を試着したり比べたりする、家に帰ってルームメイトにセールで買ったものを自慢する、その他いろいろなものが好きな普通の人々です。多くの新興企業は、非常に有望であるだけでなく、極めて迅速に成長を遂げています。それは、ほかとは大きく異なる体験を提供しているからです。

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