海を越える起業家達--ワンオブゼムとマインドバレットが目指すアジア市場

 最近、情報系スタートアップに共通する話題に「海をどう越えるか」というものがある。サイバーエージェント・ベンチャーズのインキュベーションオフィス「Startups Base Camp」で活動する、写真共有のコミュニケーションプラットフォーム「Snapeee」運営のマインドパレットと、Amebaにてフィーチャーフォン向けモバイルゲームを展開するワンオブゼムの2社も、そんな世界戦略を見据えて着々と準備を進めている。

 両社は、それぞれ数億円規模の資金を調達したばかりのスタートアップ。彼らは具体的にどのような未来を海外進出に求めているのだろうか?ワンオブゼム 代表取締役社長CEOの武石幸之助氏とマインドパレット 代表取締役社長の小林佑次氏、そして彼らに出資するサイバーエージェント・ベンチャーズ マネージャーの海老原秀幸氏に聞いた。

--お2人はすでに海外進出に向けての準備中だと聞きました。具体的にはどういう活動を開始していますか?


ワンオブゼム代表取締役社長CEOの武石幸之助氏

武石:ワンオブゼムでは現在、シンガポールに1名スタッフを派遣しています。何度もシンガポールやマレーシア、タイ、フィリピンなどのアジア圏に足を運びましたが、結局マクロな情報しか得られません。ミクロな現地情報を掴むためにはやはり現地にいかないといけないということで。

--現地ではどのような方からどんな情報を得ているのでしょうか?

武石:アジア各国でそれぞれの国のユーザーや使われているデバイスなどの情報からどの事業であれば勝負できるのか、ポートフォリオを作っています。意見を聞いている方は多種多彩ですね。現地でビジネスをしている日本の方、たとえばサイバーエージェント・ベンチャーズやアドウェイズ、マイクロアドの現地法人駐在員などです。

--ヒアリングの対象者は日本人ばかりですか?

武石:もちろん、現地で英語が話せるインドネシア人の方に話を聞いたりもしています。最近では、インドネシアの方は「起業家精神」のような考え方をする人も増えてきており、たとえば「タイムマシン経営」のような考えを持っている方もいたりします。ただ、やはりまだまだ目立つようなスタートアップや起業家は少ないです。

--スタートアップ、起業といったところに注目が集まるというような流れでいうと、東南アジアではまだまだこれからといったところでしょうか?

武石:インドネシアの(IT関連)起業家の歴史というのはやはりまだ浅いです。私たちも一緒になって作っていく、という考えの方がいいと思っています。ですから現地でのネットワーキングに力を入れています。

海老原:サイバーエージェント・ベンチャーズではインドネシアでEコマースを展開するTokopediaに出資をしています。それ以外で活発に活動しているスタートアップ事例としては、クーポン共同購入サービスで早々にGrouponへのバイアウトを成功させたDisdusなどがあります。しかしニュースになるような話題はまだまだ多くなさそうです。

武石:私たちも彼らの技術力がどれほど高いのか調査しています。インドネシア第3の都市バンドンにあるバンドン工科大学でリサーチしてますが、その大学周辺でインターンを雇ってゲームやIT関連の事業を起こしている人が増えているようです。

--アジア圏のIT系メディアが拠点にしているケースが多いこともあり、IT系の情報はシンガポールに集まっている印象があります。なぜインドネシアでの“現地での情報収集”にこだわったのでしょうか?

武石:人づての情報というのはあいまいなものが多いのです。やはり自分達の目で確かめた方がいい。特に現地の日本人コミュニティというのは、それだけでバイアスがかかってることもあります。現地の人にも聞くというのは大切ですね。

--Snapeeeを提供している小林さんはどのような準備を開始されてますか?

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