ソーシャルゲーム開発のワンオブゼム、アジア進出に向けて3億円を調達

岩本有平 (編集部)2011年10月04日 11時35分

 ワンオブゼムは10月4日、グロービス・キャピタル・パートナーズとインフィニティ・ベンチャーズLLPを引受先とした第三者割当増資を実施すると発表した。総額は約3億円で、グロービス・キャピタル・パートナーズとインフィニティ・ベンチャーズLLPが約1億5000万円ずつ出資する。増資前の資本金は740万円で、割り当て株数などは非公開。払込期日は10月5日となっている。

 ワンオブゼムは、2011年1月の設立。代表取締役社長CEOの武石幸之助氏は、サイバーエージェントにてAmebaの立ち上げを手がけたのち、Ameba事業本部統括に就任。2010年からは仮想空間サービス「アメーバピグ」のゼネラルマネージャーをつとめた人物。現在はAmebaのフィーチャーフォン向けに育成ゲーム「海の上のカメ農園」を提供している。同サービスのユーザーは現在56万人を誇る。

 調達した資金の用途については、開発体制の拡充やアプリ、コンテンツのM&A、マーケティングノウハウの取得と拡大、人材拡充などにあてるとしている。海外展開を視野に入れており、9月にはシンガポールにマーケティング拠点を設立。武石氏自身も2週間に1回ペースでシンガポールを始め、東南アジアエリアのマーケティングやリサーチを行っているという。

 同社は創業期にサイバーエージェントベンチャーズ(CAV)から出資を受けているが、「ベトナムなどアジア圏での実績もあるCAVに支援を受けることで、スピード感のある動きができている」(武石氏)という。具体的なプランは現時点では明言していないが、今後は各国のニーズに合わせて、キャリアやプラットフォーマーと組んでサービスを提供したり、自社でプラットフォームを用意したりするなど、様々な選択肢を考えているという。また、ゲームにこだわらず、コミュニケーションツールを提供する可能性もあるとした。

 開発部隊については基本は日本で基盤を作るという。「極論を言えば、(エンジニアの)人材難は都市伝説。素養がある人材を育成できれば十分勝負できる」(武石氏)

 今回出資を行ったインフィニティ・ベンチャーズLLP共同代表パートナーの小林雅氏は、「資本金の大小は出資に関係ない。武石氏のサイバーエージェントでの経験や実績を含めて評価した。スマートフォンの時代にアジアを見て、待っているだけではいけない。先駆けて(アジア市場に)行くことが重要」と出資について説明する。小林氏はかつてグロービス・キャピタル・パートナーズに在籍。2005年にはグリーへの出資を行ったが、ワンオブゼムについて、「同時期のグリーと比較しても売上は好調。我々の力も最大限に生かせる」と語っている。

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