海を越える起業家達--ワンオブゼムとマインドバレットが目指すアジア市場 - (page 2)

小林:私たちはすでに(App Storeを通じて)サービスインしているので、それに適合したマーケティングの方法を調べているところです。まだ国産のアプリでアジアを本格的に攻めている、というものは数多くありません。自力で開拓する必要があるのでそこをやろう、と。あと、武石さんがアグレッシブに攻めているのを見て、多いに刺激を受けているというのもありますね。

--どれくらいの期間でのアジア展開を考えていますか?


マインドパレット代表取締役社長の小林佑次氏

小林:3年です。Snapeeeはサービスを始めた時から3年先を考えて、そこで大きなポジションを取るべく動いています。

--リサーチやサービスを提供する中で、3年後に東南アジアが大きく成長しているという、何か期待できるポイントがあるのでしょうか?

武石:これはあくまで私たちの肌感覚ですが、親日だという印象があります。私が以前携わっていた(アメーバピグ英語版である)Ameba picoやプーぺガールといったサービスは、アジア圏で非常に受け入れられていました。それがアジアを攻める原動力ですね。


サイバーエージェント・ベンチャーズ マネージャーの海老原秀幸氏

海老原:ベトナムの携帯電話のARPUは、実は日本のARPUとそんなに変わらないという情報もあります。

小林:私がベトナムで感じたのは娯楽が本当に少ないという印象でした。これは予想ですが、こういった国々の娯楽がアプリに向かう可能性は十分にあるのではないかと考えてますよ。

アジア人同士のコミュニケーション、たとえば言葉の問題などはどうですか?

武石:シンガポールでも、現地の方の英語の文法は無茶苦茶だったりします(笑)ですが、英語が母国語ではない同士、なんとか通じさせようという意識はありますしね。

--マインドパレットに投資をした伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)は、シンガポールで活発に活動しているファッションブランド「satisfaction guaranteed」の運営会社SATISFACTION GUARANTEEDにも出資しています。アジア方面の戦略で何か具体的な連携や支援はありますか?

小林:ITVから支援を受ける際、「アジア方面を攻める」という話をしてから投資まで話が進んだ経緯があります。商社系のベンチャーキャピタルということもあって、やはりアジア方面の情報はネットワークをお持ちです。そこ経由で情報収集はしていますね。

 CAVとしては、アジア方面への支援体制はどのようなものがあるのでしょうか?

海老原:現在、ベトナム、台湾、中国、インドネシアに駐在員を送り、直接現地の方々とネットワーキングしながらコミュニティを作っています。それが強みですね。また、これまでに「CyberAgent Net-impact」というイベントをベトナムのホーチミン、中国の深センで開催しました。

--現在は情報収集の活動がメインのようですが、次のフェーズではなにがステップとして重要と考えてますか?

武石:やはり現地でユーザーをつかめているメディアが少ないと思っています。私たちはそれを粛々と作り、現地に受け入れてもらう。これがまずは必要と考えています。年明けにはiOS向けのサービスをリリースするので、そこから生きた情報を収集していく予定です。

小林:自分たちが掲げる「日本の“カワイイ”を世界に広げる」というコンセプトを実現するために実績をつくることが大切なのでしょうね。現地メディアと組むなど。今はシンガポールに拠点を作ろうとしている最中です。アイデアはありますが、これからです。

--アジアを目指すのは、まさにこれからという雰囲気なんですね。

武石:10月にシンガポールで「TECHVENTURE 2011」というイベントに参加したら、日本人がほとんどいませんでした。参加者をみると米国や中国の投資家が多かったようです。ただ、まだアジア圏の起業家が少なかったですね。市場の温度感を感じ取った現地の学生は、今まさに日本や米国で勉強しています。数年後、この学生達が帰国してさらに市場を熱くするでしょう。その時までに我々はキチンと進出して、根を張ることが重要だと思います。

小林:盛り上がってから進出しても手遅れ。ここはリスクをとってでも出ていくべきなんです。

海老原:我々も先ほど話したイベントなど、スタートアップ支援の仕組みをパッケージ化したいと考えています。次回のイベントについては、インドネシアでの開催も考えています。

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