UQコミュニケーションズは11月21日、UQ WiMAXに関する事業戦略について説明した。同社代表取締役社長の野坂章雄氏は「2011年度末に200万契約達成、2万基地局の設置を目指す。また、エリア全力宣言を行い、エリア拡充と速度向上などに取り組む」とした。
野坂氏は、2011年10月の純増数で業界第3位となったことを示しながら、2011年10月には133万契約であったものを、年内に150万契約、2012年3月には200万契約を目指すという。
「ホームゲートウェイを実現する新たなデバイスの投入や新サービス、エリア強化などによって目標を達成する」(野坂氏)と意気込む。
エリア対応としては、2011年度末には高速モバイル通信エリアカバー率を80%に引き上げ、人口1億人をカバー。さらに、都営地下鉄の三田線大手町駅において12月末からWiMAXを利用できるようにするほか、2012年内には都営全線(三田線、浅草線、新宿線、大江戸線)を対象に順次エリア化していく計画を示した。
「2.5GHz帯の強い直進性を利用し、ホームの端からトンネル内部に向けて電波を発射することにより、地下鉄トンネル内でもWiMAXサービスを利用できるようにする。東京メトロ、大阪市営地下鉄とも話を進めている。福岡の地下鉄など主要都市の地下鉄にも広げていきたい。UQ WiMAXは、地下鉄でのエリア対策に真剣に取り組んでいく」とした。
また、エリアごとの状況に応じた基地局の増設、アーケード街などの電波が届きにくい場所にも超小型の基地局を設置することできめ細かくエリア対応していく姿勢をみせた。
2011年度内には、中規模エリアを形成するセル内セル局を約500局設置。2012年度以降は、ストリートセル、スポットセルと呼ばれるエリア内局の整備を積極化させるという。
速度向上では「サービス開始以来、実効速度は着実に高速化している。実効速度は2011年12月にはダウンロードで約30Mbps、アップロードは約7.5Mbpsを実現している」などとした。
また、12月からサービスを実施する64QAMでは、従来の16QAMにおいては上りが10Mbpsであったのに対して、1.5倍となる15.4Mbpsの速度を実現。アップロード時間の短縮が可能になるとした。
UQコミュニケーションズの技術部門 副部門長兼ネットワーク技術部長の要海敏和氏は、「変調方式により、基地局に近いところでより高速なスループットが得られる。iCloudのようにアップロードが必要となるサービスの増加にあわせ、さらに利点があるだろう」などとした。
一方、同社では新たに宅内ホームルータとして「URoad-Home」を発表。11月22日から発売する。
野坂氏は「受信感度と出力の向上により、家庭内の電波が届きにくいところでも使えるほか、スタンドと壁掛けの両方で設置できる。有線LANポートを2つ搭載しており、無線接続10台を含めて最大12台までの接続が可能。家庭内のホームゲートウェイ化が可能になる」とした。
また、これにあわせてWiMAXを2回線同時に使える新サービス「ファミ得パック」を用意。1回線あたり月3880円を2回線利用した場合には7760円となるが、これを2回線目は2480円とし、2回線合計で6360円となる。
同社ではマルチデバイス利用を可能にする機器追加オプションをすでに提供し、他の機器で利用する場合にはプラス200円としていたが、2回線同時には利用できなかった。
「これまでの機器追加オプションでは、自宅で利用していると外出先で利用できないという課題があった。新たなサービスでは、外出先で利用しながらも家庭内の固定回線としてWiMAXを利用するといった提案を加速でき、さらにADSL並の価格で自宅でも外出先でも利用できるようになる」と語った。
また、同社では今後の新たな技術導入についても言及した。
同社では、送信出力の強化とアンテナ利得改善によって電波の送信能力を向上。「3dB程度エリアが拡大することになり、つながるか、つながらないかというギリギリの場所でつながるようになるなど、弱電界スループット性能が向上する」(要海氏)とした。
さらに、今後数カ月で導入する技術として、制御信号にHARQを適用することで、データ欠けで受信ができない場合などにも分割メッセージの再送と合成で受信エラーを減少させるほか、移動中のハンドオーバー時にはロストしたパケットを検知して救済することで、TCPのスループットを維持する技術を開発。安定した通信環境を実現することが可能になるという。
また、端末にあわせてアイドル時の電源利用を制御することで、端末の消費電力を最適化。端末のバッテリーライフを最大2倍に拡大できるようになるとした。
スマートフォンなどのWiMAX利用に効果を発揮することになりそうだ。
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