Shuttleworth氏はなぜこのような方針を打ち出したのだろうか?それは、Ubuntu Developer Summit初日における同氏の基調講演や自身のブログで説明されているように、「インターネットにアクセスしたり、友人と連絡を取り合ったり、音楽を聴いたり、映画を鑑賞するなど、日常生活におけるさまざまなことの手段が急速に進化してきている。われわれは今では、さまざまなOSが搭載された多種多様なデバイスを利用するようになっており、そういったデバイスの接続形態も多様化している。このため単一組織が提供しているテクノロジしか使用しないという人などほとんどいないはずだ」ということに集約できるだろう。
ここでVMwareのPaul Maritz氏による以下の発言について考えてみてほしい。
3年前には、インターネットに接続されているデバイスの95%はPCであった。しかし今から3年後には、その割合は20%を割り込むことになるだろう。つまり、インターネットに接続されるデバイスの80%以上は、Windowsを搭載したコンピュータではなくなるという時代が到来するというわけだ。
また、Shuttleworth氏は「PCメーカー業界が変革の波にさらされているように、Linuxディストリビューションも変革の波にさらされていることは間違いない。エジプトでは現在、70%の人々が携帯電話のみを用いてインターネットにアクセスしている。また米国ですら、インターネットへの接続手段が携帯電話のみという人は、驚くべきことに25%もいる」と述べている。
要するにShuttleworth氏は、Ubuntuをユーザーの元に送り届けようとしていると言える。そして、ここで言うユーザーとは、もはやPCユーザーだけに限定されているというわけではない。ただ、こういった考えを抱いているのはShuttleworth氏だけではない。Hewlett-Packard(HP)のMeeGoというwebOSをはじめとする、数多くのLinuxディストリビューションもモバイルOSへの道を模索し始めている。ただ、成功したと言えるものが出てきていないだけなのだ。
筆者は、Ubuntuをスマートフォンやタブレット、スマートTVに搭載するという戦略は現実的だと考えている。ただ、その根拠はテクノロジにあるというわけではない。テクノロジはすでに完成されている。そして、そういったデバイス上でLinxuがきちんと動作するという事実も誰もが知っていることとなっている。それらを踏まえた上で、Unityは開発当初からこういったプラットフォーム上でも、PC上と同様に動作することを目的としているのである。
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