Adobe Systemsは米国時間11月9日午前、モバイル版「Flash Player」の開発を中止し、モバイルソフトウェア開発の分野ではHTML5に注力すると発表した。この発表により、8日夜からの報道が事実であることが明らかになった。
Adobeのバイスプレジデント兼インタラクティブ開発担当ゼネラルマネージャーを務めるDanny Winokur氏は、ブログ投稿で次のように述べた。
モバイル用Flashの分野では、Flash開発者らがすべての主要なアプリケーションストア向けにネイティブアプリケーションを「Adobe AIR」にパッケージ化できるようにすることに集中する予定である。新しい携帯端末構成(チップセット、ブラウザ、OSバージョンなど)でFlash Playerをブラウザ内で動作させるための開発は、近々予定されている「Android」および「BlackBerry PlayBook」向けの「Flash Player 11.1」のリリースを最後にそれ以降は続行しない。当然ながら、既存の端末構成に対する重大なバグ修正とセキュリティアップデートの提供は続けるつもりである。また、われわれのソースコードのライセンスは引き続き有効で、独自の制作物が動作できるようにする予定である。
同社はこれまで、デスクトップPC分野における自社の力の象徴でもある「Flash」技術を断固として擁護してきたが、「iPad」から無数のスマートフォンにいたるまでの多種多様な強力な携帯端末の急速な普及を目の当たりにして方向転換を強いられた。Flash Playerはまだ、携帯電話市場において広く利用される状態にはいたっていない。
Adobeは9日午前の発表で、HTML5の幅広い普及にも見てとれる情勢の変化を認めている。
HTML5は現在、主要な携帯端末上で広くサポートされており、HTML5だけをサポートする端末も存在する。このことから、HTML5は多様なモバイルプラットフォームにわたって、ブラウザにおけるコンテンツを構築および展開するための最良のソリューションである。われわれはHTML5に期待しており、今後もGoogle、Apple、Microsoft、RIMといったHTMLコミュニティの主要な企業と連携して取り組みを続け、各社がモバイルブラウザをさらに前進させられるよう、HTML5の革新を促進するつもりである。
その一方でAdobeは、高度なゲームや高品質な動画などの分野でFlashにも革新の余地は残されているとも述べる。
「Flash Player 12」と「高精細なエンターテインメントエクスペリエンス」の分野における「エキサイティングな機能」の開発は既に始まっているとWinokur氏は述べた。「また、標準規格の発展に合わせてHTML5へスムーズに移行するための新機能をFlashに構築する。開発者が自分のスキルを引き続き活用できると知ったうえで、安心して投資できるようにしたい」(Winokur氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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