同社にとっての大きな課題の1つが、こうした双方向性が欲しいと人々に思わせることだろう。
写真を撮影後に調整することは、利点でもあるが、欠点にもなりうる。誕生日パーティーで撮影した40枚の写真のピント合わせを後からするのは、撮影者にとって退屈な作業になりかねない。パーティーの様子をちょっと見てみたいと思った人にはなおさらだ。変更可能なピントという、新しい美的領域を試してみるのは楽しいという人もいるかもしれないが、スナップ写真を撮る人の多くは、撮影した時点でピントが合っていてほしいと思うものだ。
カメラの画質も現時点ではよく分からない。同じくシリコンバレーの新興企業だったFoveonは、新しいセンサ設計でデジタル撮影にパラダイムシフトを起こそうとした。そのセンサが生み出していたのは、Ng氏がカメラ2.0時代の画像と呼ぶところのものだった。しかしFoveonは、この方法のメリットやコストパフォーマンスを写真業界に納得させようと奮闘し、最終的にはレンズメーカーのSigmaに買収されている。Lytroもここで自らの道を示さなければならないだろう。
かなり変わった製品をオンラインで買うことを人々に納得させるのも、もう1つの課題だ。人々はカメラを実際に触ってみたいと思うもので、ピント合わせの効果はオンラインで試せるが、カメラそのものの感触をつかむことはできないだろう。Lytroは自社の小売戦略についてはコメントを控えている。
また、用語の違いもある。Lytroのカメラは11メガレイ相当のデータを集めると、Ng氏は述べている。「このセンサは1回の撮影で1100万本の光線を集める」と同氏は説明する。かなりの数の光線だ。しかし、人々が従来のカメラについて、メガピクセルという言葉を現在は少なくともぼんやりと理解しているように、11メガレイでどのくらいの画質を実現するのかを誰もが理解できるようになるには、しばらくかかるだろう。
このように課題はある。しかし同社は、足掛かりを得られれば成長できる。そして同社にはムーアの法則が味方についている。光照射野撮影の課題の大部分は、光学ではなく、画像処理の部分にあるからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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