サーモスタットをセクシーなものにする、といっても想像が難しいが、やれる人がいるとすれば、それは「『iPod』の父」その人なのかもしれない。
2008年、Steve Jobs氏の健康状態に改めて懸念が高まるなか、Fortuneは、Appleの最高経営責任者(CEO)を将来引き継ぐ可能性のある候補者をランク付けした。第1位は、当時の最高執行責任者(COO)で、結果的にCEOを継いだTim Cook氏だった。そして第2位が、iPod部門を率いたTony Fadell氏だ。Fadell氏は、そのアイデアがiPodの誕生や、iPodおよび「iTunes Music Store」の組み合わせに結実したとして、高く評価されている。
Fadell氏はそのころ、次の一手を示さぬままAppleを退社し、以降は目立たない状態を保ってきた。だが米国時間10月24日、Fadell氏が表舞台に返り咲き、約100人の新興企業Nestを発表した。Nestの目標は、Appleをはじめとするシリコンバレーのトップ企業多数が持つデザインとユーザー体験のDNAを、米国の家庭でエネルギー使用の大部分を制御するようになってきた退屈な機器、サーモスタットに応用することだ。
新製品「Learning Thermostat」を携えたNestは、何十年も大きなデザイン変更がなく、どこにでもあるが使いこなすのが困難なサーモスタットに、iPodおよび「iPhone」のデザインの魔法を注入すべきだと広く世の中に訴えている。Fadell氏とそのチームは、使いやすく、利用者の行動から学習する別の解決策を考え出したと確信している。これを使えば、平均的な家庭の年間電気代約1000ドルのうち20〜30%を削減できるかもしれないと、Nestは考えている。
デバイスは小さく、丸みを帯びている。シンプルな明るいデジタル画面を搭載しており、ケースの外側を左右に回してから、前面をクリック風に押して選択する。どこかで聞き覚えのある操作ではないだろうか?加えて、「iOS」(近いうちにAndroidも)のアプリと連係し、離れたところからシステムをコントロールできる。
デザイン面では特に、クリーンかつシンプルで、隅々まで直観的なユーザー体験を目指したというLearning Thermostatは、2011年11月中旬にBest Buyを通じて249ドルで販売される予定だ。
Nestの共同設立者でエンジニアリング担当バイスプレジデントのMatt Rogers氏(やはり、初期のiPodや「iPhone」のチームメンバーという経歴を持つ)によると、Learning Thermostatは家庭の冷房と暖房の使われ方を学習するように作られており、現在の気象条件や天気予報のほか、在宅状況、住人のスケジュール、および通常の利用パターンに基づいて、温度を自動的に調整する。Learning Thermostatはだいたい1週間でパターンを把握する、とRogers氏は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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