ICT総研は10月24日、スマートフォンの電波状況に関する実測調査の結果を発表した。5月に計測した電波実測調査よりも対象地域や測定地点を拡大したほか、データ通信速度の実測だけでなく、YouTube接続成功率や視聴開始までの秒数など新たな計測指標を加えている。
調査によると、携帯電話事業者各社のインフラ強化や端末のスペック向上、より高速なサービスの導入などが結果となって表れ、前回の調査と比較して全体的に通信速度の向上がみられる結果となった。また、スマートフォン利用者数の多い首都圏よりも、東海・関西エリアの速度が速いという傾向がみられた。
事業者別で見ると、ソフトバンクモバイルの速度に著しい改善がみられ、首都圏の下り速度では、前回の2倍前後の速度を記録した。下り最大14.4Mbpsへの対応を開始したことや、短期間で基地局を大幅に増強したことが要因とみられる。
auは前回に引き続き、首都圏と東北の下り回線速度でトップとなった。10月に発売したiPhone 4Sも、各エリアで優れた結果を示した。またイー・モバイルは、今回の調査で全体的に優秀な値を示したが、特に東海・関西エリアで抜きん出て優秀な通信速度を記録した。
iPhone 4Sをソフトバンク版とau版で比較すると、首都圏や東海・関西では、理論上の最大値では圧倒的優位のソフトバンク版(下り14.4Mbps/上り5.76Mbps)がau版(最大値下り3.1Mbps、上り1.8Mbps)をわずかに上回ったものの、実測ベースではあまり差がないことが検証された。また東北地方では、au版の速度が非常に安定しており、ソフトバンクを大きく上回った。
Android端末とiPhone 4Sの比較では、Android端末はデータ通信速度でiPhone 4Sより速い傾向がみられた。一方で、iPhone 4Sはウェブサイトの画像読み込みなどに要する通信速度ではやや劣るものの、YouTubeを視聴するまでの開始時間が速く、動画視聴では強みを発揮することがわかった。
YouTube接続成功率については、昼は各社ともにほぼ100%を記録したが、夜はNTTドコモが93.3%でトップ、auが86.7%でこれに続く結果となった。NTTドコモはデータ通信の上り回線速度で劣るという傾向はあるものの、下り回線では全国的にどのエリアでも著しく劣ることがなく、YouTubeの視聴でも安定した品質を示した。
YouTube視聴開始可能時間については、僅差ながらソフトバンク版iPhone 4Sが最短(5.2秒)となった。一方で、夜は全体的に視聴開始可能時間が大幅に長くなるなか、au版iPhone 4Sが最短(13.8秒)となった。イー・モバイルやNTTドコモもこれに準ずる結果となった。
調査は10月19日~23日にかけて、首都圏28地点、東海・関西26地点、東北18地点の計72地点の鉄道駅を測定場所として、NTTドコモ(MEDIAS WP N-06C)、au(Xperia acro)、ソフトバンクモバイル(003P)、イー・モバイル(S41HW)の各Android端末と、auとソフトバンクモバイルのiPhone4Sの計6機種を利用して、データ通信速度を測定する手法で実施された。
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