NECは10月17日、マンガン系リチウムイオン充電池において、寿命を従来比の2倍以上に向上する技術を開発したと発表した。家庭やビルへの設置だけではなく、大規模蓄電システムの利用にも適しているという。
同社では、安価で埋蔵量が豊富なマンガン系正極を用いたリチウムイオン充電池を開発し、携帯電機器や電動アシスト自転車などに搭載してきた。しかし、定置用の蓄電池に用いた場合、繰り返し充放電を行うことで、電解液の溶媒が分解されて負極上に皮膜が形成される、正極のマンガンが除々に電解液へ溶出するなどにより電池の抵抗が高くなり、容量が低下するなどの問題があったという。
新開発の電池では、電解液の耐久性を改善させる添加剤に有機硫黄化合物を用いることで、充放電で電極上へ強固な保護膜を形成し、溶媒の分解を抑制する事が可能になったとのこと。開発した電解液の基礎評価では、抵抗上昇を従来比2分の1以下、サイクル寿命を従来比1.5倍~3倍とし、繰り返し充放電による容量の低下を大幅に抑えたとしている。
また試作した電池を用いて耐久性評価を実験したところ、2万3500サイクル(連続4年以上)の充放電をしながら、初期容量の83%を維持することも実証したとのことだ。
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