ジェイアイエヌは、PCやスマートフォン、TVなどのモニタディスプレイから発生するブルーライト(青色光)から目を守り、疲れにくくするメガネ「JINS(ジンズ)PC」を9月30日に発売する。JINSのオンラインショップでは先行予約を受け付け中だ。価格は3990円。度付きレンズには2012年春をめどに対応予定だ。
JINS PCは、ナイロン樹脂「TR-90」を使用した軽量な「Air frame」と網膜に悪影響を与えるとされるブルーライトの約55%カットを特長とするPC利用者向けのメガネだ。イタリアのサングラスレンズメーカーであるインターキャストが開発したPC用の特殊レンズを採用。モニタやティスプレイから発するブルーライトから目を保護し、疲れにくくする効果があるという。また、独自のハイコントラスト技術により、青色波長域の光を抑えつつも、目が識別しやすい波長域の光を際立たせることで、色収差を抑えた自然な見え方をする機能を兼ね備えているとしている。
ジェイアイエヌ 代表取締役である田中仁氏は開発の経緯について、「約3年前からケータイを見ていると目がチカチカして疲れるようになってきた。2年ぐらい前からスマートフォンを手にするようになってから、画面を見るのも目が痛くてイヤになってきた。なぜだろう。メガネは視力補正用具ではあるが、もうちょっと前向きで能動的な機能を持たせられないかと思ったのがきっかけ」と話す。
専門家を交えて疲れる要因を探っていくと、瞬きをしない、ブラウン管から液晶モニタに変わったことによる光の変化などが考えられ、中でも液晶から出るブルーライトの問題が大きいと分かってきたという。
南青山アイクリニック 副院長の井手武氏によれば、「対極に位置する色は消す力がある」ことから、ブルーライトをカットするには、対極に位置する黄色を持ってくる方法がある。学生の頃に暗記などで使った経験がある人もいるかもしれないが、緑のペンでマークし、緑のシートをかぶせるとマークした部分が見えなくなるのと同じ原理だという。
製品サンプルをレンズメーカーと作ったが、ブルーライトをカットしようとすると、レンズが黄色いため、PCの画面が見えにくくなる問題が発生した。ブルーライトをカットしつつ、なおかつスマートフォンやPCの画面も自然に見えるレンズはないか──。探っていく中で、インターキャストが同社の要望に対して新技術によってPCの見え方を自然に保ちつつ、55%カットすることに成功したとしたという。「他社ではできないもの。技術を公開していない」(田中氏)と自信を見せる。
「試してみたら非常に効果がある。夕方になると目がしょぼしょぼしていたのが、メガネを掛け始めてから楽になった」とし、社員に試してもらったところほとんど全員が習慣化しているのだという。「社長から言われたから、という状況だと掛け忘れてしなくなる。ところが、夕方になるとこめかみの奥が痛くなる。午後になると目薬をしないとならない、という人の症状が緩和され、自信を持った」という。
井手氏によれば、人間の視細胞は青色光に感受性が高く、時差ぼけの緩和治療に青色が使われるなどリセット効果があるという。一方で、「夜遅くまでPCを使っていると、本来浴びる必要のなかった光を浴びてしまうため、睡眠障害が起きることもある。できるだけカットしてあげるのがいい」と提言する。
青色の光はまぶしさを引き起こすため、目が疲れやすくなるという。出井氏が裸眼視力1.0以上の人を対象にJINS PCを装着した人11名、レンズなしフレームのみを装着した11名でテストをしたところ、「ピントが合わせにくい」「光がギラギラ」「文字がちかちか」「線を目で追いづらい」といった症状の程度がいずれも軽減されていたとした。
7月に同社が発表したゴルフやランニング向けなど複数発表した製品の中で、TwitterにおいてこのJINS PCの反響が大きく、「予想を上回る反響だった」という。
一方で、ブロガー向けに行われたイベントの中ではさまざまな声が聞かれた。例えば、グラフィックデザインをしているという男性は、「赤が補強されて青が軽減されているように感じる。色を調整するときに使うのは難しい」とコメント。やや色味が変わってしまうため、職業によっては向き不向きがありそうだ。また、メガネを掛け慣れないという女性は、「フレームが気になる」と話す。
JINS PCは、メガネをしない人に向けたアプローチだ。これについて「社会的意義もあるが、メガネのマーケットは縮小している。10年前に6000億円あった市場が4000億円。視力補正用具だったら安いほうがいいので下落は仕方がないが、目のいい人も掛かけたほうがいいものがあれば、お客様にとってもいいこと。メガネを掛けない人にも新しい習慣を提案したい」(田中氏)と語った。
デザインは、これまでの経験を踏まえ、多くの人が満足できて誰もが似合う形を選んだのだという。なお、カラーは全16色で、レッド、ピンク、オレンジ、イエロー、ライムグリーン、グリーン、ライトブルー、ネイビー、パープル、ワインレッド、バーミリオン、ダークブラウン、ホワイト、グレー、ブラック、クリアがラインアップする。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス