以上ざっと見てきたが、競合製品であるVULKANO FLOWと比較した場合のメリット、デメリットについて最後にまとめておこう。
まず画質についてだが、LAN上およびWAN経由の場合でも、両製品の差はほとんど感じられない。スマートフォンの小さい画面で見る場合は、なおさらだ。視聴環境による違いはあるにせよ、画質の差が製品選びの決定的なポイントになるかと言われるとノーだろう。
実売価格についてはVULKANO FLOWが1万2800円、本製品は3万4980円と、かなりの差がある。VULKANO FLOWは接続するチューナ機器によってはD端子の変換ケーブルを買い足す必要があるため、実際にはもう数千円ほど価格差は狭まるが、それでも2万円ほどの違いがある。
ではこの2万円の差に相当する部分は何かと問われると、やはりリモコンのプリセットだろう。VULKANO FLOWの手動リモコン設定は初心者にはかなり難易度が高いが、本製品であればよほどマイナーな機器でない限り機器一覧から選択するだけで赤外線データがダウンロードされ、利用できるようになる。VULKANO FLOWは訪問設定サービスが安価に提供されているが、将来的に別のチューナ機器につなぎかえることを考えると、やはり自力でできた方が良いと感じる人は多いだろう。こうした人にとって、2万円を上積みしてでも利便性を優先したいという考え方は合理的だろう。
ネットワークへの接続方式については、本製品は有線、VULKANO FLOWは無線/有線という違いがあるが、VULKANO FLOWがサポートする2.4GHz帯の無線LANは電子レンジなどを使った際に映像が途切れることも多く、常時安定して使うためには有線接続になりがちだ。設置場所の制約がなくなることを除けば、無線で使えないことへの不自由さは特に感じないというのが、筆者個人の感想だ。
むしろ好き嫌いが分かれそうなのが、ブラウザで視聴する仕組みだ。専用ソフト不要で視聴できるという触れ込みの本製品だが、ブラウザのプラグインが必要なのであれば導入の手間はそれほど変わらない。また、視聴中にブラウザのアップデートなどで再起動を求められた場合、いったん放送が途切れることになってしまう。個人的にはVULKANO FLOWのように専用ソフトを用いたほうが使い勝手が良いと感じる(実際にはSlingPlayer for Windowsなるソフトが存在しているのだが、いまのところ米国内のみの提供となっている)。
ともあれ、ロケーションフリー用途の製品が機能や価格の違いで選べるというのは、ユーザーにとっては朗報だろう。本製品は旅行先で自宅のテレビが観られるというのが大きなセールスポイントだが、スマートフォンでワンセグ代わりに使える点も、かなりのウェイトを占めると考えられる。日常利用から出張先、旅行先でのテレビ視聴まで、幅広く活用できる製品だと言えそうだ。
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