iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、さらにiPadなどのタブレット製品の進化には目覚ましいものがある。従来のPC以上のモビリティを実現したこれらのデバイスを、個人利用だけでなくビジネスに利用する動きが加速している。しかし、実際にこれらの機器がビジネスシーンにどのようにフィットするかは必ずしも明確ではなく、どの事業者も大いに頭を悩ませるところだろう。
本書はiPhone/iPad/Androidなど一連のデバイスを「スマートデバイス」と総称し、ビジネスシーンでそれらのスマートデバイスに深く関わるプレーヤーへのインタビューを通じ、スマートデバイスの将来的なビジネス利用の可能性を探った一冊だ。
スマートデバイスの活用で実際に成果を挙げている事業者やハードウェアやサービスの開発元など、現在スマートデバイスと向き合っている最前線のプレーヤーが顔を揃えた結果、日本におけるスマートデバイス利用の「いま」が見事に切り取られているのは興味深い。
一見するとインタビュー集のようでありながら、それらはあくまで著者のスマートデバイス論が展開される本書の第6章の裏付けでしかない。スマートデバイスをガジェットとして賞賛する傾向に警鐘を鳴らしつつ、日本というマーケットにおいてこれら新しいツールとどのように向き合うかを説く著者の主張には、本書前半で具体例が提示されていることもあり、おおいに説得力がある。
企業はもちろん、学校および教育現場など、スマートデバイスを業務で利用することを考える人にとっては、さまざまな「気づき」が得られる良書だと言える。
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