非営利団体の情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)は、東日本大震災の被災地域の住民を対象に、震災発生直後から3カ月後までの情報行動を調査、結果を速報版としてまとめた。
情報行動調査は、岩手、宮城、福島の東北3県の被災地域に居住する10~60代の男女を対象に、7月4~11日に実施し、2815件の有効回答を得た。調査方式はインターネットによるアンケートを採用した。
震災時に利用した情報ツールや機器を問う質問では、当日はラジオが67.5%で最多となった。震災以前にラジオを情報収集ツールとして活用していたのは46.6%だった。同じく当日は、携帯電話が37.5%(震災以前はスマートフォン以外が63.6%)、テレビが33.4%(同84.2%)、パソコンによるインターネットが19.5%(同81.3%)、固定電話が7.7%(同27.7%)と、いずれも地震発生前の半分以下。iSPPでは、停電や通信インフラの損壊、通話規制などが影響し、十分に利用できなかったことが示されたとしている。
震災発生から1週間を経過しても、ラジオが75.0%で依然として最多。テレビは71.2%、携帯電話は54.7%、インターネットは52.8%、固定電話は25.9%と回復するも、固定電話を除き震災以前の水準に戻っていないことがわかる。1カ月後と3カ月後の経過時を比べると、各機器とツールが震災以前の水準にほぼ回復した。中でも固定電話は、震災以前の水準を上回る47.1%になったことが注目される。
震災時に役に立った情報源を問う質問では、震災当日はラジオが64.7%で最多。以降、テレビが32.1%、ワンセグ放送が24.2%と続いた。また、近隣住民からの口コミ情報が、新聞に次ぐ6位となった。
そのほか、ホームページやSNSなどのインターネットサービスは18.9%、新聞は14.7%、電子メールは13.9%、携帯電話による通話は11.4%、固定電話は3.5%と、いずれも震災前の水準を下回っている。iSPPでは、これらは厳しい状況の中で効果的な利用が難しかったことを示している。
震災発生から1週間後には、テレビが66.1%になり、震災以前と同様の最多。続いてラジオの61.2%、インターネットの38.8%、新聞の36.7%という結果になった。iSPPでは、依然ラジオが頼りにされているが、他の情報源も回復したことが示され、1カ月後までにはほぼ震災前の水準に戻り、3カ月後も同様であったと分析している。
インターネット利用については、全体の61.0%が震災以前は「ふだん利用していた」と回答したが、震災後に「役に立った」という回答は、当日が18.9%、1週間後で38.8%、1カ月後では53.0%だった。
「役に立った」インターネット上のサービスを問う質問には、普段はヤフーの51.4%、グーグルの33.1%、楽天の27.4%、アマゾンの27.4%、気象庁の16.6%だった。震災当日はヤフーが10.1%、Twitterが6.5%、グーグルが5.8%、自治体サイトが5.5%の順となった。iSPPでは、全体の利用が減少した中、Twitterや自治体サイトが目立つとしている。
3カ月後には、ヤフーが61.8%、自治体サイトが43.1%、グーグルが37.7%、電気・水道・ガスなどインフラ情報が20.9%、新聞社が20.1%となった。Twitterとmixiも時間の経過とともに上位に入ってきたが、震災前に利用が多かった楽天やアマゾン、ニコニコ動画などは低位にとどまったとしている。
iSPPでは、同調査と並行して、地元関係者が調査員となり被災者と直接面談する個別調査を実施している。ネット経由の調査の定量性を補完する定性的な調査結果として、現在集計、分析中だという。
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