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グーグルのエンタープライズ戦略は“100%ウェブ”

岩本有平 (編集部)2011年07月20日 20時16分
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 グーグルは7月20日、エンドユーザー企業向けカンファレンス「Google Enterprise Day 2011」を開催した。カンファレンスの開催に合わせて記者説明会を開催。同社のエンタープライズ分野での取り組みや、導入企業の事例などを紹介した。

 検索エンジンから広告、動画サービスなど幅広く提供するグーグルだが、エンタープライズ分野はその中でも成長著しい分野だとGoogle グローバルセールス&ビジネスデベロプメント担当副社長のAmit Singh氏は説明する。

 今回のカンファレンスのテーマは「Nothing but the web(100%ウェブの世界へ)」。Singh氏はGoogleが手がける“100%ウェブ”について、(1)クライアントソフトを必要とせず、すべての情報がブラウザでアクセスできるインターネット上に集約され、(2)Gmailをはじめとした同社のサービスでも実績のあるスケーラブルなコンピューティングパワーを使い、(3)サブスクリプションモデルで提供され、(4)PCに限らずさまざまなデバイスで利用でき、(5)自動でアップグレードされ、すべてのユーザーが最新の環境を利用できる――ものだと説明する。

Google グローバルセールス&ビジネスデベロプメント担当副社長のAmit Singh氏 Google グローバルセールス&ビジネスデベロプメント担当副社長のAmit Singh氏

 Singh氏は、アプリケーション、プラットフォーム、デバイスの3つの分野での100%ウェブに向けた取り組みを語った。アプリケーションではエンタープライズ向けスイートのGoogle AppsやGoogle Earthを用意。プラットフォームとしては、今四半期中にもApps Engineを提供する。デバイスでは検索アプライアンスのほか、Androidや日本未発売のChrome Bookも提供している。「(100%ウェブの)すばらしいのは、まったくデスクトップを使わない点。携帯電話でもiPadでも、どんなデバイスでも利用できる」(Singh氏)

 同氏はまた、前回日本に来てから、アクティブユーザーが50%増加したと説明。世界各国で導入件数を増やしている中で、「最も伸びているのはこの地域(アジア)。ソフトバンクグループの発表もあったが、カシオやノーリツ、戸田建設もGoogle Appsに移行した」(Singh氏)。スタートトゥデイの「ZOZOTOWN」などもGoogleのコマース製品を導入したという。「日本での導入率は非常に高い。いろいろな業界、サイズの企業が移行をはじめている」(Singh氏)

 ここで、日本での事例として、戸田建設 建築企画部企画3課/総合企画室 情報管理課 佐藤康樹氏が登壇。自社の取り組みを説明した。

 ゼネコンという業種がら、数年ごとに拠点を作ってビジネスを展開している同社。GoogleマップのAPIについては3年前から利用していたという。しかし2月に作業所が放火に遭い、3月11日には東日本大震災にともなう津波で拠点が流されるということが起きたため、6月にBCP(事業継続計画)のためにGoogle Appsの導入を決定。9月にもカットオーバーする予定だとした。

 またグーグル エンタープライズ プロダクトマーケティング マネージャの藤井彰人氏は、全国で保育園などを運営するポピンズコーポレーションの事例を紹介。IT部門が1人だけという同社だが、東日本大震災に際して、Googleドキュメントのスプレッドシートを用意。各施設の営業状況や改修が必要な内容などを書き込んで共有するよう連絡し、震災の影響の見える化を実現したという。「今までだと、ウェブ構築の安否確認システムを一生懸命作り、使い方を教育してきた。しかしこれは中小企業では難しい。クラウド上のドキュメントであれば、アイデア1つでこういうことが実現できる」(藤井氏)

 Singh氏らは具体的な数字こそ出さなかったが、震災以降、災害復旧やBCPの観点からクラウドに関する引き合いが増えていると説明する。これまであった、顧客の情報を第三者が管理するというクラウドへの心理的な抵抗感についても下がってきているという。

 クラウドの利点について語ったSingh氏だが、MicrosoftのOffice 365については、「デスクトップエクスペリエンスが特徴。我々はコラボレーションに重点を置いており、どこでも使える。また従量課金であり、前もってライセンスを必要としない。さらに彼らはデスクトップで収益を上げてきたため、その継続が必要。我々はウェブで活躍できればいい」(Singh氏)とし、その違いを強調した。

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