検索エンジン業界の主要イベントの1つである「Search Marketing Expo」(SMX)の上級者向けカンファレンスである「SMX Advanced」が6月7日から2日間、米シアトルで開催された。SMXは検索エンジンマーケティングに特化したイベントであり、世界中から広告主、広告代理店、ツールベンダーなど、業界関係者が参加し、最新の運用手法やテクノロジー、トレンドについて発表し、情報交換を積極的に行う場になっている。
筆者は毎年SMXともう1つの検索業界カンファレンスシリーズであるSearch Engine Strategies(SES)に参加している。わざわざ時間をかけて日本から参加する目的は、米国における最新の業界トレンドをつかみ、今後の日本の業界や自身のビジネスを俯瞰した目で見つめ直す良い機会になるからだ。
ここ数年の大きなテーマはソーシャル、アトリビューション、ディスプレイ広告への回帰だった。アトリビューションはもはや新しいものではなく、普通に語られるようになってきた。ディスプレイ広告については意外にも2011年はセッションでも取り上げられず、全体的にはソーシャル、とりわけFacebookの話題が多かったように思う。
Facebook(とBing連合)対Googleの話題は当然あったが、Facebook広告とGoogle AdWords広告の親和性を活用した事例など、必ずしも対立軸としての見方だけではなかった点が興味深かった。
Facebookのいいね!(Like)に対抗すべく発表されたとされるGoogle +1。SMXでも、これに特化したセッションがあり、Googleのプロダクト担当であるDaniel Dulitz氏が、その機能とメリットについて説明していた。
Google +1はユーザー同士でサイトの評価、レビューを共有する仕組みである。Googleが+1をリリースした背景の説明の際、2つのリサーチ結果を挙げていた。「オンライン上の90%の消費者は、知り合いからのおすすめを信頼する」、「コンバージョンの71%はオンラインでのレビューが理由で発生する」というものだ。Googleの検索結果に自分が知っている人の名前と写真が載っていれば、信頼できる内容、興味を引く内容と思ってもらえるということだろう。
Google +1の評価は現在3カ所で使うことができる。Google +1を貼ったウェブサイト、Googleの自然検索結果、そしてAdWords広告である。
3つのURLが同一であれば下のスクリーンショットのように、知り合いの写真と名前が並んで掲載される。こうやってみると、知り合いの写真や名前が検索結果に含まれていると目は引くし、1行余分に領域を取る。それがない他の検索結果と比較すると、あったほうが良いようにも思う。
Google +1への取り組みは大事に見えなくはない。しかし、リリース後の反応は今ひとつと言ったところなのだ。GoogleのDulitz氏も、Google +1は開始したばかりであるが、ウェブサイトへの導入は進み具合が緩やかだと言っていた。理由としては次の2つが挙げられる。
まず第1にウェブサイトへの導入状況だが、Google +1は、Facebookのいいね!、Twitterのツイートなどのソーシャルプラグインにやや遅れての参入で、簡単に組み込むコードは用意されているが、特にGoogle +1の効果が未知数ななかで、わざわざウェブサイトへ足す作業を躊躇している人は少なくないはずだ。
また、Facebookのいいね!は1年以上前に開始しており、導入数でこれに追いつくのには時間がかかると考えられている。別セッションで、Google Analyticsの新機能の発表があり、ウェブサイト上のソーシャルプラグインに対するアクションを測定できるようになった。各プラグインに応じて簡単な設定が必要だが、Google +1はネイティブでサポートされており、Googleがさまざまな方法でGoogle +1の普及を後押ししようとしているのがわかる。
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