ミルモと電通、コンテンツ配信プラットフォーム始動--海外視野にアプリも提供開始

別井貴志 (編集部)2011年07月01日 15時03分

 ミルモと電通は、7月1日からスマートフォンやタブレット端末向けのコンテンツ配信プラットフォーム「ROTA2U」の提供を開始した。また、これと同時に、音楽、動画配信アプリケーション「madia2U」も提供し始めた。当初はAndroid向けに提供する。

 ROTA2Uは、ミルモのコンテンツ配信システム「ROTA(Rich Media Over The Air)」と電通の著作権管理方式「DRPC(Digital Rights Permission Code)」を軸に開発し、日本マイクロソフトのデジタル著作権保護技術「PlayReady」とクラウドプラットフォーム「Windows Azure Platform」を組み込んでいる。具体的な配信プラットフォームとしては、動画配信の「R2U Video」と音楽配信の「R2U Music」の2つがある。

 最大の特徴はマルチOS、マルチデバイス、マルチユースに対応していることで、コンテンツプロバイダー(CP)などのサービス提供者はそれぞれのOSやデバイスごとにコンテンツを用意する必要がない。それぞれの技術の特徴は以下。

  • ROTA
    ミルモが提供。CMSや決済システムを担いCPが必要なシステムが揃っている。決済はCPやユーザーのニーズによりクレジットカードやYahoo! ウォレット、キャリア決済、プリペイドなど順次拡大させていく予定。
  • DRPC
    電通が1997年に考案したコンテンツの著作権管理方式。国際電気技術標準化会議(IEC)で2008年6月に標準化された技術規格(IEC62227)。「誰が、誰に、どのようなコンテンツを、どういった条件で提供するか」といった、権利許諾情報を数値コード化し、スマートフォンやPC、タブレット、テレビなどの機器でコンテンツを利用できるようにした。DRMが技術的な手段で著作物であるコンテンツの安全性を保護しているのに対して、DRPCはコンテンツが持つ複雑な情報の権利を管理する。
  • PlayReady
    マイクロソフトが提供するデジタル著作権保護技術で、DRPCと組み合わせることで安全なコンテンツ配信を実現。
  • Windows Azure
    Windows AzureでDRPCを含むR2Uプラットフォームの各機能を構築することで、サービスの規模に合わせた拡張や一時的なインフラの増強など柔軟なシステム対応が可能。
  • R2Uアプリ R2Uアプリ
  • R2U Video
    映画本編やテレビ番組など動画系CP向けの配信サービスプラットフォームやアプリケーションを提供。販売方法は、視聴期限のない売り切り形式やレンタル形式に対応し、ダウンロードやストリームを問わず、期間や回数などの制限も設定できる。
  • R2U Music
    音楽や着メロ、カラオケなど音楽系CP向けの最新サービスプラットフォームやアプリケーションを提供。販売方法は、都度課金による楽曲単位の購入や月額課金などに対応。ポイントによる販売など順次機能を拡大する予定。
  • R2Uアプリ
    PlayReadyのクライアント機能を内蔵しており、コンテンツの再生や購入機能を併せ持つ。PCやタブレットなどPlayReady対応機器と接続すればコンテンツを同期することができる。
ミルモの代表取締役社長である横地俊哉氏 ミルモの代表取締役社長である横地俊哉氏

 ビジネスモデルとしてのサービス展開は2つある。1つは、media2UなどR2Uアプリにストアを出店してサービスを展開するテナント型で、もう1つは独自ブランドとしてアプリを展開する独自店舗型。また、ROTA2Uのプラットフォームで広告を販売するシステムの提供も予定している。

電通の取締役常務執行役員である秋山隆平氏 電通の取締役常務執行役員である秋山隆平氏

 このほか、今後の展開として11月までに電出版配信プラットフォーム「R2U eBook」と、ゲーム配信プラットフォーム「R2U Game」を提供する。デバイスの対応は7月からスマートフォンとタブレット、10月からPC向け、11月にスマートテレビに対応し、Androidから開始しているOSも、Windows PhoneやiOSにも順次対応させる。さらに、日本国内だけでなく、中国や台湾などのアジア展開でも話を進めており、北米、欧州など海外展開も視野に入れている。

日本マイクロソフトのコミュニケーションズ・セクター業務執行役員である横井伸好氏 日本マイクロソフトのコミュニケーションズ・セクター業務執行役員である横井伸好氏

 ミルモの代表取締役社長である横地俊哉氏は、「どのような形でコンテンツを提供すればエンドユーザーに対して一番便利なのかということをこの3年間考えてきたが、その結果がROTA2Uだ」とし、「震災もあって日本の景気が沈んでいる状況にあるが、これからは日本のコンテンツ事業を世界にどんどん展開していきたい」と語った。

 また、電通の取締役常務執行役員である秋山隆平氏は、「ROTA2Uプロジェクトは、電通にとって新しい事業領域に進出する先駆けとして位置づけている。電通のDRPCプラットフォームはオープンなサービスであり、ROTA2Uプロジェクトだけでなく、さまざまなコンテンツ流通サービスの基盤として展開していくが、まずはROTA2Uプロジェクトでしっかりした土台を築き、日本発のコンテンツ流通の新たなビジネスモデルとして、世界と闘っていけるよう注力していく」と抱負を述べた。

 さらに、日本マイクロソフトのコミュニケーションズ・セクター業務執行役員である横井伸好氏は、「我々もコードネームでWindows Phone Mangoと呼んでいるスマートフォンの日本展開をいま鋭意準備している。新しいコンセプトで使いやすく、ネットワークと非常に親和性の高いこのWindows Phoneを配信先として、今後協業を深めていきたい」と述べ、端末を見せた。

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