Oracleは米国時間6月1日、「OpenOffice.org」に関するコードベースの管理権をApache Software Foundation Incubatorプロジェクトに寄贈すると明らかにした。
OpenOffice.orgは無料の生産性スイートの中では最も高い人気を誇り、「Microsoft Office」の大きなライバルでもある。Oracleはこのオープンソースコードの「寄贈」について「開発者およびオープンソースコミュニティへの寄与を示すものだ」と説明している。
OracleのCorporate Architecture Group主任Luke Kowalski氏は声明で「OpenOffice.orgのApacheへの寄贈により、この消費者向け人気ソフトウェア向けに、成熟し、オープンで、最適に構築されたインフラストラクチャーを、将来長きにわたって提供、維持することができる」と語った上で、次のように述べている。「Apache Software Foundation(ASF)のモデルを用いることで、企業関連と個人のボランティアの両方が、オープンソース製品の開発で協力できる」
ASFでプレジデントを務めるJim Jagielski氏は「高い目標をもった成長過程のプロジェクトであれば、個人の協力者からのものだけでなく、堅固な開発者コミュニティ、世界的なユーザーベース、そして強力な企業の支援によるものについても」ASFは歓迎すると語った。準備期間中、Jagielski氏はOpenOffice.orgコミュニティの「Podling Mentor」として支援にあたる。Oracle側はコードを「寄贈する」としているが、ASFが候補となるコードを受入れるまでには煩雑なプロセスが待っているからだ。
OpenOffice.orgプロジェクトを支援してきたSun Microsystemsが2010年にOracleに買収されたことを受け、同プロジェクトからは新たにThe Document Foundation(TDF)という分派が生まれている。ASFとは異なり、「LibreOffice」というプロジェクト名で開発しているTDFは、「LibreOfficeにも採用できる形で提供される(中略)重要なユーザー機能」のリリースを歓迎しながらも、今回の「寄贈」の一報には中立的な反応を示した。
TDFは声明で「Oracleの手を離れることにより、OpenOffice.orgとLibreOfficeプロジェクトが対等なメンバーからなるコミュニティに再統一されるなら、The Document Foundationはこれを歓迎する。今回Oracleが選択したステップは善意によるものであることに間違いはないが、再統一という目標の達成に直接つながるものには見受けられない」と記している。
「Apacheコミュニティに対してわれわれは大きな敬意を抱いているが、既存のOpenOffice.orgおよびLibreOfficeプロジェクトと比較した場合、ライセンスやメンバー構成などの面で、期待されることも規律も大きく異なっている。チャンスを逸したことを残念に思うが、現在活動中のコミュニティメンバー全員とともに、LibreOfficeおよびOpenOffice.orgについて、可能な限り最良の未来を作り出すため、今後も努力を続けるつもりだ」とTDFは記している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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