Facebookの製品はこれまで、プライバシーをめぐって論争を呼んできたが、人々は最初のうち不安を抱いた新機能にも慣れるものだ。同社の創業者であるMark Zuckerberg氏は、e-G8 Forumでこのように述べた。
Zuckerberg氏は、5月24日と25日の2日間にわたってパリで開催されたe-G8 Forumで、「友達」同士がお互いを追跡できる機能を高めたFacebookのサービスはユーザーからの批判を招いてきたが、その後こうしたユーザーたちもそういったサービスを使い始めていると語った。
「サービスを公開すると、こうした反発を受けることが非常に多く、人々は『まあいいけど、この新サービスは気に入らない』と言う。これは実際に不安を感じているのだと思う。人々はかつて、ソーシャルネットワークに関わってくる人が増えることを非常に恐れていた」(Zuckerberg氏)
同氏によると、2006年にはFacebookユーザーの10%にあたる100万人の人が、「友達」が何をしているかについてアップデートを提供するFacebookの「News Feed」サービスに抗議したという。
Zuckerberg氏は、サードパーティーの開発者がユーザーの「友達」情報を利用できるようにする「Facebook Platform」が「かなり議論を呼んだ」と述べた。同氏によると、Facebookは「すべてを適切に管理し、不正行為が多発しない」よう対策を講じたという。
「インターネットの持つ利点の1つは、とにかく何かを構築するといったことが可能な点で、それを利用するかどうかはユーザーが選択することだ。だからこそわれわれが議論に負けることはない」(Zuckerberg氏)
英国のプライバシー擁護団体Privacy Internationalは現地時間5月25日、ZDNet UKの取材に対し、プライバシーの侵害が常態化するおそれのあることをZuckerberg氏は認識すべきだと述べた。
Privacy Internationalのディレクターを務めるSimon Davies氏は「人間の行動は周囲の人に左右される」とした上で、「人は、周りが普通だと考えるものについて行く。人々は情報の共有についてこれからも不安を感じるだろうし、その点を認識しないことは長期的に見てFacebookの利益にならない」と語った。
Davies氏は、プライバシーを強固に保護しながら、同時に柔軟なデータ共有を実現することは可能だと述べた。
Zuckerberg氏はe-G8 Forumで、多数のアラブ諸国で今春に発生した民主化を求める暴動や、政治運動でソーシャルメディアが果たした役割という話題にも言及した。
Guardianには、次のようなZuckerberg氏の言葉が引用されている。「人々はわたしにこう言う。『アラブの春』でこれほど大きな役割を果たしたことは素晴らしいが、人々に関するこうした情報の共有や収集を可能にしていることを考えると、何だか怖い気もする、と。だが、どちらか一方だけを取ることは難しい。インターネットの好ましい点だけを手に入れて、他の好ましくない点を規制することなどは不可能だ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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