日本IBMは5月22日、大量データ分析のための新製品「IBM InfoSphere BigInsights Enterprise Edition V1.1」(BigInsights)と、ストリームコンピューティングの新製品「IBM InfoSphere Streams V2.0」を発表した。
これら2つの製品は、“ビッグデータ”と呼ばれる多様化かつ頻発する膨大な量のデータをリアルタイムに高速分析することで、企業が競争力ある洞察を得ることを支援するためのものだという。
BigInsightsは、大規模データを効率的に分散処理し、管理するためのオープンソースソフト「Apache Hadoop」の技術を基盤とした製品。IBMリサーチの研究者200人以上によって4年にわたり研究され、企業がフォールトトレランスを実現できるように必要な機能を備えたとしている。
具体的には、大規模なクラスタ環境を簡易に構成、運用するための統合インストーラや管理コンソール、Hadoopとのデータのやりとりを容易にするクエリ言語「Jaql」、既存のデータウェアハウスとの連携を容易にするための「データ統合機能」など、IBMが情報管理分野で培ってきた技術を適用。これにより大容量の分散化したデータとコンテンツの効果的な分析が可能になり、価値の高い知見を獲得できるようになるとしている。
InfoSphere Streamsは、大量データをリアルタイムに処理するストリームコンピューティングを実現するミドルウェア。対象となるデータには、画像、音声、VoIP、ビデオ、テレビ、金融ニュース、ラジオ、警察無線、ウェブトラフィック、電子メール、チャット、GPSデータ、金融取引データ、衛星データ、センサ、IDカードの読み取りデータ等が含まれる。また、データを蓄積せずにリアルタイムで処理するため、証券フロントオフィスにおけるトレーディングなど、発生頻度が高いデータをより高速に分析することが必要な業務に適しているとしている。
InfoSphere Streams V2.0では、従来比の3.5倍の速度で分析処理ができ、IBM System x 3850 X5を1台使って使用した実証実験では、1秒あたり1000万件以上の通信ログを処理したという。また、東芝ソリューションがIBM System x3500 M3を1台使用して実施した稼働テストでは、証券業のアルゴリズムトレーディングという複雑な処理でも、1秒あたり平均6〜7万件の処理を実現したとしている。
BigInsights Enterprise Editionの使用料金は、1テラバイトあたり285万円から(税抜)で、5月27日から提供を開始する。また、10テラバイトまでの利用に限り、BigInsightsを無料で利用できる「IBM InfoSphere Basic Edition V1.1」もあわせて提供するという。
InfoSphere Streams V2.0の使用料金は、1コアあたり464万円(税抜)で、5月24日から提供を開始。また、同製品では許可ユーザーあたり38万3100円の開発者向けライセンスも用意しているという。
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