エフセキュア、Android向けセキュリティアプリ提供--紛失時には警告音

田中好伸 (編集部)2011年05月11日 20時40分

 エフセキュアは5月11日、Android搭載スマートフォン向けセキュリティアプリ「エフセキュア モバイル セキュリティ for Android」の提供を開始した。サポートするAndroidのバージョンは2.1、2.2、2.3。動作検証済み端末はPDFで確認できる。価格は1年版が3500円、2年版が5250円。同社のオンラインストアで購入できるほか、同社のパートナー企業からも販売される。

 モバイル セキュリティには、ウイルス対策やスパイウェア対策、ペアレンタルコントロール、ブラウザ保護、盗難・紛失対策、自動更新という6つの機能が搭載されている。ウイルス対策やスパイウェア対策の自動スキャンは、アプリをインストールする時とSDカードにアクセスする時、また起動時やPCに外部端末として接続した時に行われる。同社の中村多希氏(プロバイダ営業部シニアテクニカルサービスマネージャ)によると、「PC向けウイルス対策ソフトのように、ファイルアクセスの度にスキャンすることはないため、端末のパフォーマンスを低下させない」という。これによって、バッテリやリソースの消費を最小限にできるという。

 盗難・紛失対策としては「Anti-Exit」という機能が搭載されている。アンインストールするにはパスコードが必要となり、第三者によるアプリ強制停止実行を防止できる。この機能は「エフセキュア独自のもの」(中村氏)という。盗難・紛失対策の一環として、SMSを送信することで、位置情報の特定、リモートから端末をロックしたりデータを消去したりする機能も搭載されている。SMS送信で端末から警告音を鳴らすこともできる。これも「エフセキュア独自のもの」(中村氏)で、他社のセキュリティアプリにはないものだという。

 エフセキュアの八木沼与志勝氏(テクノロジー&サービス部技術部長)は、スマートフォンも含めた携帯電話は「物理的な危険性の方が重要」と説明する。同氏は、1~3月に日本国内でAndroidを狙ったウイルスが届けられたのは2件という統計(情報処理推進機構=IPA調べ)を挙げて、それに対して同時期の東京都内での携帯電話紛失が1114件になるという統計(警察庁まとめ)から、携帯電話の被害は「紛失や盗難の被害が多い」と説明している。

 ペアレンタルコントロールは子どもがスマートフォンを使うことを想定したものだ。チャイルドとティーンエイジャー、成人という3つのプロファイルをカスタマイズすることができ、許可されていないウェブサイトアクセスを自動でブロックできる。アダルトやチャット、出会い系など16種類のカテゴリのサイトリストが用意され、新規のウェブサイトについては同社のレピュテーション(評価)技術で判定される。

 エフセキュアは、Android端末のデータをバックアップ、リストアするオンラインストレージを12月末までに提供する予定も明らかにしている。このオンラインストレージは、連絡先やメール、写真、動画、カレンダーなどの情報を自動でバックアップするものだ。データはエフセキュアが管理するサーバに格納される。端末が壊れてしまっても、バックアップされたデータを別の端末にリストアすることができる。

 法人向けとして「エフセキュア モバイル セキュリティ ビジネス」の受注を6月1日から受け付け、6月20日から出荷する。またサービス事業者向けに「エフセキュア プロテクション サービス モバイル」の提供を5月11日から始めている。

 法人向けのモバイル セキュリティ ビジネスは、個人向けのモバイル セキュリティからペアレンタルコントロールをのぞいているが、同じ機能を搭載している。法人向けとしてはモバイル端末管理のための管理ポータルも提供される。管理ポータルから端末の状況を確認できるとともに、個人向けと同様に遠隔でのデータ消去やロックなどを行うことができる。サービス事業者向けのプロテクション サービス モバイルは、移動体通信事業者(キャリア)とAndroid端末メーカーを対象にしたものであり、セキュリティ機能を組み込んでエンドユーザーが使うことを想定している。

桜田仁隆氏 エフセキュア代表の桜田仁隆氏

 エフセキュアの代表を務める桜田仁隆氏は、今回の一連の商材を自社オンラインからの販売、キャリアからの販売、ハードウェアへの組み込み販売というチャネルで提供するとともに、法人向けではシステムインテグレーターからの販売を想定している。こうした複数のチャネルによって「2012年中にAndroid向けセキュリティソリューションのシェアでトップ3を目指す」と意気込む。桜田氏は一連の商材の売り上げについて「全体の10%が個人向けであり、法人向けが50%、組み込み販売が40%という割合になるのではないか」と見通している。

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