インターネットとテクノロジの世界の中心にある機関や企業として、Creative Commons、Mozilla Foundation、Technorati、ICANN、ハーバード大学インターネット社会研究所(バークマンセンター)、Twitter、Six Apart、Flickrを考えてみよう。これらに共通するのは何だろうか。
伊藤穰一氏と答えたなら正解だ。そして今回、このリストにマサチューセッツ工科大学(MIT)Media Labが加わることになった。伊藤氏は日本のベンチャーキャピタリスト兼起業家で、上述のテクノロジ企業の経営や投資のほか、重要な機関の理事を長年務めている。同氏は米国時間4月25日、MIT Media Labの新所長に任命された。MIT Media Labは最先端の研究センターで、特にOne Laptop Per Child(OLPC)プロジェクトで知られるNicholas Negroponte氏によって1980年に設立された。
伊藤氏の幅広い経験や、素晴らしい個人的人脈、そして関心事項の多彩さを考えれば、同氏を任命することは多くの人にとって非常に納得のいくものだ。しかし、どの分野の学位も持っていない人物を、このような重要な学術機関のトップとするのは予想外の選択ではある。それでも、MIT Media Labが伊藤氏を選んだというニュースが25日に流れると、優れたデジタル知識人の多くは喜びを抑えきれなかった。すべてにわたって、伊藤氏は非常に適任であると見なされている。
伊藤氏は、「World of Warcraft」(WoW)は新しい時代のゴルフだという考えの草分けだ。企業の最高経営責任者(CEO)や著名人が参加する、今では有名となったゲームギルドを設立し、WoWの仮想世界の中で自分のチームメンバーと協力してプレイしている。そんな伊藤氏にとって、MIT Media Labは一生の知的活動の機会となる可能性がある。しかし、伊藤氏のTwitterのフォロワーなら誰でも知っているように、じっとしているのは決して同氏のやり方ではない。伊藤氏は、およそほかの誰にもまねできないペースで世界中を旅している人物だ。そのためMIT Media Labのような機関を指揮する地位につくことによって、伊藤氏の航空会社のマイレージがたまりにくくなるのは確かだろう。
ヨルダンに短期滞在中の伊藤氏は26日、米CNETの「45 Minutes on IM」インタビューに応じ、飛行機の窓から外を眺めるのをあきらめなければならないかどうか、MIT Media Labは同氏にとってどのような意味を持つのかなど、さまざまなことを語った。
--お休みになっていないにもかかわらずインタビューを受けてくださってありがとうございます。このニュースを聞いてとてもうれしく思いましたが、その後でまず考えたのは、Joi(伊藤氏の愛称)はこの新しい仕事をしながら、どうやって世界中を飛び回り続けるのだろうか、ということです。映画『マイレージ、マイライフ』では、George Clooneyが飛行機出張できなくなる場面がありますが、あのようになるのでしょうか。
伊藤氏:いくつか段階があると思っています。MIT Media Labをよく知るために、少し腰を据えなければならなくなるでしょう。しかし、MIT Media Labがわたしに求めていることの多くは、さまざまな外の世界の事柄や人、スポンサー、機関、文化とのパイプ役となることです。ですから、いったんMIT Media Labと同調してしまえば、旅行は仕事の一部になるでしょう。また、わたしが関心の対象を全く絞ることができないのは、すぐに決まった型を抜け出して、新しいことをしたくなってしまうからです。MIT Media Labでは、ほとんど何でもできると感じています。Media Labの仕事に集中しつつ、「あらゆることに重点的に取り組む」ことがなんとかできるでしょう。それはMedia Labの多様で学際的な性質のおかげです。それがわたしの旅行スケジュールに具体的にどのように反映されるのかは分かりませんが、少なくとも「本拠地」が増えることにはなると思います。
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