伊藤穣一氏インタビュー--MIT Media Lab新所長に聞く - (page 3)

Daniel Terdiman (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年05月09日 07時30分

--率直なご意見をお聞かせください。「インターネットによって、世界とコミュニケーションをとる方法が変わった」とおっしゃいましたね。それは、Media Labの教職員と学生がWorld of Warcraftを通して授業やインタラクションを行うようになるということでしょうか。

伊藤氏:学生と教職員がWoWギルドに参加するのを見てみたいですが、それが実現することはありません。いくつかの段階があるのではないでしょうか。何がうまくいくのかまだ正確には把握していないので、ある意味で意図的に曖昧な答え方をしています。しかし、オンラインコミュニティーやウェブ全体に関して、Media Labはもっと多くのことができると考えています。また、IPポリシーは大学で重視されていますが、オンラインに接続しようとするとき、それが摩擦の原因になることもあると思います。ただ、わたしはこの話題に関しては困難な立場に置かれており、運営面での詳細についてまだ十分な話をしていないので、具体的な発言は控えたいと思います。

--ブログ投稿で、ご自身の既存のネットワークとMedia Labの統合について触れていました。それは恐ろしいほど強力な新ネットワークのように思えます。どのようなネットワークになるとお考えですか。

伊藤氏:簡単なことから始めるつもりです。友人をラボに招いて、学生や教職員と引き合わせます。また、学生や教職員をわたしのネットワークにいる人々に紹介して、興味深い会合に参加してもらいます。真の狙いは、わたしのネットワークにいる人々をMedia Labの人々とつなげること、また、その逆方向のつながりを築くことです。それは1つの大きなつながりではなく、非常に文脈的な意味で脳のシナプスのようなものです。権力や影響力を得ることが目的ではありません。適切な効果を発揮する適切なつながりが目的です。最も重要なのはニュアンスであり、人々は「ネットワーキング」について話すときニュアンスをきちんと理解していないことがあると思います。これは、従来の体制が画一主義的なものだったためです。重要なのは、砂をレンガに変える試みを行っているシャルジャ(アラブ首長国連邦)の生物学者が、屋外建築を手がける建築家と話せるように取り計らうことです。

--Creative CommonsやMozilla、ICANN、Technorati、Neotenyなど、非常に多くの素晴らしい取り組みに関わってきました。それは大半の人々が一生のうちに成し遂げられることを超えています。どうすれば、そのように多くのことをできるのでしょうか。睡眠を取る時間はあるのですか。

伊藤氏:「運営」だけに気を取られずに、自分の得意分野、つまりハイリスク期間やつながりにも注力するようにしています。Creative Commonsでは、普段以上に「運営」に携わっていました。組織がそれを必要としていたからです。Media Labでも、運営に関する職務が多くなります。しかし過去には、運営に関することをある意味で避けて、出口と終わりが組み込まれたプロジェクト志向型の方法で仕事に取り組もうとしたことがありました。ICANNでの3年間がそうでした。また、わたしの主な仕事はつながりを作ることなので、同時進行的に物事を行うことは、ときに焦点が限られるという問題はあるにせよ、良好なネットワーク効果をもたらしています。しかし、これは誰にでもお勧めできる方法ではありません。管理が困難ですし、睡眠時間も少なくなります。

--そうでしょうね。Labに話を戻します。Media Labで時間を過ごし、さまざまな話し合いをされたことと思いますが、特に刺激を感じているプロジェクトは何かありますか。

伊藤氏:すべてのプロジェクトに、多くのプロジェクトに刺激を感じています。Media Labでもう少し長い時間を過ごすまで、具体的な名前を挙げたくありません。しかしそれらのプロジェクトが生物学や芸術、ロボット、人工知能など、さまざまな分野をつなぐことをうれしく思います。

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