Twitterでは鳥に関する比喩が好まれる。少し行き過ぎではないかと思うほどだ。そこで、同社に鳥に関する比喩を1つ贈ろう。Twitterの過去と現在の経営体制についての詳細な報道がいくつかあり、それによると、同社全体が鳥の群れのように見えるが、群れのリーダーが誰なのかよく分からないようだ。その結果、Twitterの経営陣は仲間内で衝突し合っている。
これらの報道は綿密な調査結果から突飛な憶測までさまざまだ。具体的には、Fortuneが解説記事でTwitterの現経営陣の混乱(共同創設者のEvan Williams氏が最高経営責任者(CEO)を退任して、元CEOのJack Dorsey氏が復帰し、現CEOのDick Costolo氏はTwitterのビジネスモデルに磨きをかけられずにいるようだ)を伝えているほか、「姿を消した」Twitter共同創設者からの手紙や、Twitter「上層部」の何者かが実際にGoogleのためにスパイ活動をしており、Twitterによる人材の引き抜きを阻止したとのうわさまである。うわさはさらにエスカレートして、そのスパイは伝説のベンチャーキャピタリストJohn Doerr氏ではないかという憶測まで流れた。
これはまじめな話だ。そうしたうわさの中には極めてスキャンダラスなものもあるため、映画「ソーシャル・ネットワーク」の成功を目の当たりにしたTwitterは、同社全体が悲劇のヒロインたちとともに壁の中に押し込められているというような印象を与えて、自社を緊張感に溢れてはいるが喝采をもって迎えられる伝記映画の主役に位置づけようとしているのではと思えてくる。筆者の憶測だが、Twitterのオフィスには巨大なホワイトボードがあり、その片側にはCostolo氏が事業計画を走り書きでメモしているかもしれない。この事業計画は実際にうまくいく可能性が高いものだが、Twitterは不死鳥のように甦る前にすべてが完全に破滅したような印象を与える必要があるため、今はまだこの計画を発表したくないのだろう。ホワイトボードの別の側には、間違いなく制作されるであろう映画で誰が自分を演じるのかに関して、皆の提案が書かれているのかもしれない(共同創設者のBiz Stone氏を演じるのは、映画「オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式」に出演していたあの少年のはずだ)。部屋の反対側では、Jack Dorsey氏が「MacBook Air」でファッションサイトのGilt Manにアクセスして、プレミアに着ていくタキシードを探しているのだろう。
実際には全くそんなことはない。Twitterには明らかに現実の問題があり、その問題の根幹にあるのは、急速に成長し変化するTwitterの実権を実際に握っているのは誰なのか、皆目分からないように思えることだ。
ここでいくつか指摘しておくべきことがある。
まず、「上層部にトラブル」という報道を読んで驚く人はいない。未知の分野に挑む草分け的なテクノロジ企業のほぼすべてが、それを経験するからだ。Mark Zuckerberg氏がFacebookのCEOを辞職する寸前だと(そうでないとしても辞職すべきなのかと)誰もが考えていたときのことを覚えているだろうか。Facebookでは2008年と2009年に深刻で急激な変化が生じた。当時のFacebookの創業年数は今のTwitterと同じくらいで、最高執行責任者(COO)のOwen Van Natta氏が辞任したほか(大方の意見ではCEO職に就けないと悟ったことが辞任の理由だという)、最高財務責任者(CFO)のGideon Yu氏が追放され、Zuckerberg氏とともにFacebookを創設した人々が新しいプロジェクトを始めるために同社から徐々に離れていった。
ではFacebookの現状を見てみよう。Zuckerberg氏はまだ若く、ほかの幹部社員との性格面での衝突も報じられているが、今もFacebookのトップに立っている。同氏は元GoogleのSheryl Sandberg氏を雇って会社経営を任せ、自らは精力的なハッカーエンジニア集団を率いることに注力している。Zuckerberg氏のCEO辞任を求めていた評論家たちも、同氏がいなければ、Facebookは「Mark Zuckerbergには大人の監視役が必要か」という見出しが掲載されていた時期から現在までのすべての偉業を達成することは不可能だっただろう、ということに今では気付いている。
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