MozillaがGoogleのブラウザから取り入れているアイデアは、より短いサイクルで定期的に行うリリーススケジュールだけではない。Mozillaは、新しい機能を迅速に市場へ投入するために、「Google Chrome」のようにテスト版と安定版を組み合わせたリリース方法を「Firefox」で採用する計画も積極的に進めている。
MozillaのプログラマーであるRob Sayre氏が発表したドラフト文書によると、大筋としては、より広範なユーザー向けに調整された完成度の高いバージョンとともに、さまざまな完成度のFirefoxの新版を公表するためだという。
この全体的な取り組みの目的は、Microsoftの「Internet Explorer(IE)」の支配によって停滞していた市場を再び活気づかせた功績のあるブラウザに、より高い競争力を持たせることだ。Firefoxは全世界でのユーザー数で今でも第2位の座にいるが、現在、GoogleのChromeはテクノロジ好きのアーリーアダプターを大勢引き寄せており、Microsoftも、最新ブラウザのIE9によって競争力を取り戻している。
Firefoxの新しいリリース哲学から生じる最大のリスクは、ゆっくりと移行を進めるユーザーを置き去りにしてしまうことだ。Firefoxはメインストリームに受け入れられたが、短いサイクルで自動的にアップデートするというソフトウェア開発哲学は、例えば保守的なIT部門と相いれない可能性がある。
Chromeは数え方によって、4〜5種類のバージョンが存在する。最も荒削りな「ナイトリー」版は、その名の通り毎晩構築され、最新のパッチが含まれる。開発者向けリリースはそれよりも完成度が高いものの、新しい機能の検証場所として設計されている。ベータ版では最終的なテストが行われる。安定版はメインストリーム市場向けだ。ナイトリー版と開発者向けリリースの間には「Canary」版があるが、これはWindows版のみで、アップデートのスケジュールも不規則だ。例えば、Canaryには開発者向けリリースに含まれる新しいChromeロゴがまだ反映されていない。
Mozillaは似たようなモデルへの移行を進めているが、Googleとは異なる用語を使用しており、また、Canaryは採用していない。ドラフト文書では「mozilla-central(または『ナイトリー』)、firefox-experimental、firefox-beta、Firefox」という代替的なバージョン名が提示されている。Googleと同様、Mozillaもこのリリースメカニズムをチャネルと呼んでいる。
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