UPDATE メディア王Rupert Murdoch氏率いるNews Corp.が米国時間2月2日、「iPad」向け刊行物「The Daily」を創刊した。これが次世代の読者に受け入れられることをMurdoch氏は期待している。
The Dailyは年間購読費が39.99ドルで、毎日最大100ページにわたるニュースや情報がiPad所有者に配信されると、News Corp.会長を務めるMurdoch氏とその関係者らは、ニューヨークのグッゲンハイム美術館に集まった報道陣や支持者らに対して述べた。The Dailyは、Thedaily.comで即座に提供開始され、最初の2週間は無料配信となる予定だ。Verizonが、その間の購読料を肩代わりする。
The Dailyには、ユーザーと双方向的なやりとりが可能な高解像度ビデオと360度写真が使用される。そしてもちろん、デジタル世代のニュース刊行物として、ソーシャルネットワーキング機能が豊富に搭載されている。
Murdoch氏は、The Dailyに対するある好意的なレビューを紹介した。Murdoch氏は記者会見の質疑応答で、Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏がThe Dailyを賞賛したと述べた。
Murdoch氏は、医療休暇中のJobs氏について、「彼は先週わたしに電話をくれ、このアプリケーションは本当に素晴らしいと思うと言った」と述べた。「非常にうれしかった」(Murdoch氏)
The Dailyにおける大きな要素は価格である。Murdoch氏は、The Dailyによって、ニュースの読者がデジタルコンテンツに対して料金を支払うつもりがあることが証明されるだろうという大きな賭けに出ている。購読希望者は、1週間あたり99セントを支払うか、最初に39.99ドルを支払えば1年間購読することができるとNews Corp.は述べた。
The Dailyの成功の鍵は、その記事の品質にかかっているとNews Corp.幹部らは述べている。当然、オンラインで無料で読めるものと同じ内容を集めて掲載したり、既存の雑誌、新聞、放送などによる報道をまとめ直したりするだけでは、メディア会社はオンライン出版物を有料で提供することはできない。
Murdoch氏は、オフライン(またはオンラインの他の場所)では入手できない機能を読者に提供する必要があることを理解しているようである。
Murdoch氏は、The Dailyの財政的な仕組みについて、「われわれの野望は非常に大きく、われわれのコストは非常に小さい」と述べた。同氏は、The Dailyの開発費として投入した金額は3000万ドルで、今後の同新聞の製作にかかる費用は毎月200万ドル未満になる予定だと述べた。
しかし、目を引く機能や充実した内容をThe Dailyに投入しているにもかかわらず、Murdoch氏の試みは、長年にわたる傾向に逆らっている。新聞や雑誌の発行部数は、かなり以前から減少し始めている。その時期は、インターネットが登場するよりもずっと前だが、ウェブが減少に拍車をかけたのは事実である。
The Los Angeles Timesは1992年、平日版と日曜版の両方において、100万部以上の発行部数を誇っていた。2010年10月の同紙の発行部数は、平日版で60万449部、日曜版で90万1119部まで減少している。
米国のほとんどの主要日刊紙の発行部数が100万部未満に落ち込んでいる。News CorpのWall Street Journalは、わずかな例外の1つである。
◇記者会見の様子を写真で
「成功の定義は?」と尋ねられたMurdoch氏は
◇発表に至るまで
iPad向け新聞「The Daily」、発表イベントは米国時間2月2日に
iPad向け雑誌「Project」--Virginの狙いとNews Corp.との関係
マードック氏、ジョブズ氏とともに「iPad」用ニュース配信サービスを準備か
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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