2月1日、かねてから告知されていたように、マイクロソフト日本法人の社名が「日本マイクロソフト株式会社」に変更された。
「新聞を見るたびに、『米マイクロソフトの日本法人』と書かれていた。25年も日本でビジネスをやっているのに、昨日今日来たような、外資系企業の出先事務所のように受け取れる表現。これを変えたかった。日本マイクロソフトとすることで、日本に根付いた企業であることを理解してもらえる」と、代表執行役社長の樋口泰行氏は自らの思いと社名変更の狙いを語る。
この言葉からも分かるように、「日本マイクロソフト」という社名への樋口氏の思い入れには並々ならぬものがあったようだ。実は、新社名に正式変更する2週間前から、新社名が刷り込まれた名刺を、パートナーや顧客に「フライングして」配っていたというのだ。あえて「ジャパン」とせずに「日本」としたのも、同様に「日本に根ざした」ことを強く感じさせるためのことだという。
社名変更は3年ほど前から検討されていたというが、実は樋口氏が同社に入社する以前にも、前任のDarren Huston氏の社長時代にも同様の話はあったという。今回は、ちょうど創立25周年という節目、そして、品川新本社への移転というタイミングもあり、社名変更に踏み切ったといういきさつもある。(関連記事:歴代社長で振り返るMSKKの歩み)
樋口氏が言う、「日本に根ざした企業」という言葉には、いくつかの意味がある。また、これを指して「日本で正しいことをやる」という表現を用いる場合もある。
では、「日本に根ざした企業」を実現するために、日本マイクロソフトはこれから何をやっていくのだろうか。
ひとつは、「パートナーシップを強固なものにしていく」という。樋口氏は、「(日本では)『マイクロソフトとは、パートナーシップを組みにくい』というイメージが以前から根強くあり、それが今でも払拭しきれていない」と話す。日本法人とは話が通じないから、あるいは時間がかかるから、直接、米国本社とやりとりしたいという動きも、これまでにないわけではなかった。だが、それについても、日本法人がきちんと窓口としての役割を果たすことで“日本に根ざして”いることを示す、ひとつのバロメータになるはずだ。
「日本は欧米と、文化的な距離感がある。それを埋める役割も、日本マイクロソフトの重要な取り組みのひとつ。日本のパートナーやお客様と、結びつきが強くならないと、日本でのビジネスがスケールアップしない」(樋口氏)
また、日本発の製品を世界に展開していくための地盤づくりも、日本マイクロソフトとしての重要な役割のひとつだという。「プラットフォームベンダーとして、日本の企業の競争力強化に寄与し、さらに海外に進出するための手助けもしていきたい」(樋口氏)とする。
日本マイクロソフトが目指す企業像は、「お客さまに顔が見え、親しまれ、かつ尊敬される企業」「パートナー様との密な協業を推進できる企業」「前向きで生き生きとした人材にあふれ、仕事を通じて自己の成長を実現できる企業」「常に革新的な技術をお届けできる企業」「日本の社会に根ざし、良き企業市民として社会に貢献できる企業」だという。これらによって、「日本で尊敬されるベストカンパニーを目指す」ことを掲げている。
同社は、新たな企業ブランドスローガンとして「Be what's next.」を使用することを、2月1日に合わせて発表した。このスローガンは、すでに米国などでは使用されているものだが、日本でも社名変更にあわせて使用を開始したのだ。
ここに込められた意味は「新しいテクノロジによる変革と未来への挑戦を約束する」とし、「企業使命である“世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出す”ことを実現するために、今もこれからもITを通じて、イノベーションへのあくなき挑戦を約束するというマイクロソフトのコミットメント」であるという。
新たな社名のもとで、新たな船出をはじめた日本マイクロソフトにとって、まさに象徴的なブランドスローガンではないだろうか。
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