企業が今年注目すべきトレンドは?--2011年の技術動向トップ5 - (page 2)

文:Jason Hiner 翻訳校正:石橋啓一郎 文:Jason Hiner(TechRepublic) 翻訳校正:石橋啓一郎2011年01月13日 07時30分

3.ITの大衆化が継続

 わたしは1年前の記事で、ITの大衆化を、注目すべきトレンドのリストの5番目に挙げた。2011年には、この現象はさらに加速し、より多くの従業員が、会社が用意したものではなく自前のツールを使うことを選び、より多くのIT部門が、ハードウェアの購入費を節約あるいは購入の先送りするための節約メカニズムとして、従業員の所有するデバイスをサポートするようになるだろう。

 2011年で大衆化に影響を与える他の要因には、マルチタッチタブレット端末の普及がある。大量に増えつつあるiPadやAndroidのタブレット端末を持つ人は、それらのデバイスを仕事に使いたがるようになり、多くのIT部門は、個人所有のスマートフォンで企業のアプリケーションやデータにアクセスする場合に似たガイドラインを用いて、従業員にそれらのデバイスを使う際のポリシーを用意するようになるだろう。

2.デスクトップの仮想化

 2011年は多くのデスクトップPCがシンクライアントで置き換えられる年になる、という予想はしない。この間違った予想は、10年以上も前から唱えられてきたが、一部のニッチな業界でしか実現しなかったし、決して一般には受け入れられなかった。これは、今年も起こらないだろう。

 しかし、ずっと多くの企業がデスクトップの仮想化の実験を始めることになるだろう。その会社の標準的なソフトウェアのイメージ(デフォルトのOSの設定と、すべての企業アプリケーション)を作り、それを仮想マシンに載せれば、IT部門はIT管理者と従業員の両方にとって魅力のある、新たなレベルの柔軟性を得ることができる。仮想化されたデスクトップはサーバ上でホストされ、会社のPC(古いパワー不足のものを含む)からでも、従業員の個人PCからでも、シンクライアントのデバイスからでも、一部のタブレット端末やスマートフォンからさえアクセスできる。エンドユーザーはアクセスに用いるデバイスをコントロールするが、ソフトウェアや仮想マシンの設定については、IT部門が完全にコントロールする。ITの大衆化が進展しているため、このやり方の魅力も明白なはずだ。

 また、Google Chrome OS(ブート可能なウェブブラウザ以上のものではない)の大規模実験を行う企業が大量に出てくるかも知れない。これを既に検討し、テストを始めている企業の数を聞いたら、驚く人もいるだろう。ここで言っているのは、American Airlines、Kraft Foods、Virgin Airlinesといった大企業のことだ。GoogleがCitrixと協力関係を結び、またエンタープライズ版のChrome OSを真剣に検討しているということも、同社がこの製品はビジネス市場で大きな可能性を持っていると考えていることを示している。

1.事業部門がIT人材を吸収する

 2011年のもっとも注目すべきトレンドは、従来の中央集権型のIT部門が引き続き力を失っていくことだ。より多くの企業が、集権型のITサービス部門よりも、個々の事業部門にITプロフェッショナルを割り当てるようになるだろう。ビジネスアナリストやプロジェクトマネージャーとしての役割を果たすことのできる、企業事情に通じているITプロフェッショナルに対する需要は高まるばかりだ。

 その一方で、ITに関する技術的な仕事の多くは(サーバ管理者から、ヘルプデスクの技術者、ネットワークエンジニア、ソフトウェア開発者まで)、それらの分野に特化した企業にアウトソースされるようになる。ただし、この文脈における「アウトソース化」は、必ずしも他の国への「オフショア化」である必要はない。多くの場合、国内企業や、大企業の国内支社が、このIT労働力のシフトによって恩恵を受けるだろう。これは、単に企業の中核的な事業に力を集中すべきだということであり、多くの企業にとって、ITは中核事業ではないというだけのことだ。このことは、小規模および中規模の組織では特に重要だが、多くの大企業も同じように考えている。

 自らの組織をコントロールする力を少し諦める代わりに、それらの組織は年中無休のサービスと、より専門的なスキルを持ったITプロフェッショナル集団を思うままに利用できる。これは、労働市場におけるIT関連の職の総数が減るという意味ではないが、仕事の多くは個々の企業から、多くの組織にサービスを提供する企業に移ることになる。繰り返しになるが、ITの専門家と実際のビジネスソリューションの間を橋渡しするビジネスアナリストとプロジェクトマネージャーは、この話には当てはまらない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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