IDC Japanは1月6日、国内製造業向けアプリケーション市場予測を発表した。これによると2010年の国内製造業向けアプリケーション市場は2245億7900万円で、前年比成長率5.0%となる見込み。2009年の前年比成長率マイナス16.2%から復調の兆しがみえるとしている。
その中でも、特にCore PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)アプリケーションの市場回復が早く、2010年は前年比成長率9.0%で、市場規模は1208億5100万円になるとみている。このことから、製造業向けアプリケーション市場は、「ERM(エンタープライズリスク管理)」「CRM(顧客関係管理)」「SCM(サプライチェーン管理)」「BI(ビジネスインテリジェンス)」などの経営情報系アプリケーションよりも先に、設計系アプリケーションから市場回復したとIDCでは分析している。
また、2010年のCore PLMアプリケーション市場を構成する機能セグメント別の市場規模では、設計情報に関わるエンジニアリングアプリケーションとcPDM(コラボレーティブプロダクトデータマネージメント)市場で、前年比成長率がそれぞれ7%を超えてプラス成長した。国内Core PLMアプリケーション市場は、2009年に前年比成長率マイナス17.5%という大きな市場縮小を記録したが、2010年には国内IT支出の本格的な回復を待たずに、成長基調へ回復したという。
2010年の国内Core PLMアプリケーション市場は、Mechanical CAD/CAM/CAE市場が661億4200万円で、前年比成長率11.7%と大きく市場回復を果たした。これに続き、cPDM市場規模が226億5400万円で、前年比成長率7.7%、マニュファクチュアリングアプリケーション市場規模が247億7500万円で、前年比成長率3.9%となった。
Core PLMアプリケーションを構成する機能別アプリケーション市場を比較すると、生産系アプリケーションよりも、設計情報系アプリケーションであるMechanical CAD/CAM/CAEおよび、設計情報の共有化を支援するcPDMでいち早く企業のIT支出が戻ったとIDCではみている。
一方、2009〜2014年のCore PLMアプリケーション市場規模は、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)4.5%で拡大し、2014年には市場規模が1384億6700万円に達すると予測している。さらに同市場の中でも、特にcPDM市場の成長が期待され、2009〜2014年の年間平均成長率は6.9%と予測。IDCでは、設計BOMと生産、調達BOMの統合が市場成長のカギだとしている。
2010年のCore PLMの機能別アプリケーションの内訳は、Mechanical CAD/CAM/CAEが53.7%と過半数を占めており、当該市場におけるCAD/CAM/CAEベンダーのシェアが強大であることを示している。しかし、2014年に向けてMechanical CAD/CAM/CAEの市場構成比は52.6%に縮小する一方で、cPDMの市場構成比は2010年の19.0%から2014年には21.2%へ拡大し、徐々にERPベンダーが提供するcPDM製品の市場構成比が高まるとIDCは予測している。
IDC Japan、ソフトウェア&セキュリティグループマネージャーの赤城知子氏は「エコカー減税などに代表される製造業に追い風の景気対策が終了する中、内需の本格的な回復は認められず、Core PLMアプリケーション市場の高成長は2009年の投資控えの反動による一過性の動きを否定できない。Core PLMベンダーが2011年に好調な業績を維持するためには、PLMソリューションが設計部門向けの支援に閉じたソリューションから、経営支援型のエンタープライズPLMソリューションへのブレークスルーを促す強力なマーケティングと、それを立証する実際の成功事例が必要だ」とコメントしている。
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