原稿の読み取り方式は2種類ある。本体の背面にある「排出ガイド」を、閉じたままにしておくと、「ストレートパス」となり、読み取られた原稿は本体の後ろに向かってまっすぐ排出される。
曲げたくない原稿や、プラスチックカードなどの曲がらない物をスキャンするのに便利だ。現行機種のS1500もS1300も、プラスチックカードは、その「曲げられない」特性のために読み取れなかった。昨今は、さまざまな手続きがオンラインで済むようになり、そのため、身分証明書をスキャンして送る機会もかなりある。フラットベッドスキャナで、ふたをバタバタと開いたり閉じたりしなくても、S1100なら運転免許証などのカードをサッと素早くスキャンできる。
また、排出ガイドを開いた状態にすると、読み取られた原稿がカールして、手前に排出される「Uターンパス」となる。ストレートパスの場合、スキャナの後ろにも、原稿と同じサイズのスペースが必要となるが、このUターンパスを利用すれば、スキャナの前面にスペースがあればよいので、かなり狭い場所でもスキャンが可能だ。また、原稿の両面をスキャンしたい場合には、Uターンパスにしておくと、立ち上がったり手を伸ばしたりしなくても、手前に戻ってきた原稿を取って、スマートに再度読み込ませることができる。
今までも、ユーザーが自分で設定すれば、ScanSnapで読み取った原稿をEvernoteに保存することは可能だったが、最初から設定があるのとないのとでは、敷居の高さが全然違う。スキャンした画像やPDFファイルをすべてEvernoteに保存しておけば、後から、検索機能やノートブック機能を使用して、整理整頓が楽にできる。
Windows版の場合は、スキャン後のデータの整理ができる「ScanSnap Organaizer」が付属しているが、Mac版はないため、Macユーザーの場合は必然的にEvernoteを使用することになるだろう。
スキャンの前に、タスクバーに表示されるSアイコンを右クリックして、Evernoteに保存するための設定を選択してスキャンすると、自動的にEvernoteにデータが保存される。EvernoteにはOCR機能があるため、しばらくすると画像内の文字列が検索できるようになる。
他にも、Googleドキュメントへの保存や、読み取った名刺データを「名刺ファイリングOCR 」(Windows)または「CardMinder」(Mac)からSalesforce CRMに保存することができるなど、連携するクラウドサービスが多く、スキャン後のデータ活用の幅が広がる。
Windows版には、「やさしく家計簿 エントリー for ScanSnap V1.0」が付属する。レシートをスキャンして本ソフトに読み込めば、レシートの内容があっという間にデータに変換される。S1100は、紙をトレイのどこに置いても、サイズを自動判別して読み取る。レシートやカードのような小さなものを読み取るときに、ガイドを調節するなどの手間がいらないのは助かる。
この「やさしく家計簿」の認識精度は素晴らしい。一般的なレシートとして、スーパーマーケットのレシートをスキャンしてみたところ、ほぼすべての項目を正確に認識し、店名まできちんと認識された。「やさしく家計簿」を販売しているメディアドライブ株式会社は、e.Typistという認識精度に定評のあるOCR製品を出している会社なので、この精度に納得がいく。
入力した情報は、「家計簿」を表示して「テキスト出力」ボタンをクリックすることで、明細をCSV形式で書き出せる。Excelや他の家計管理ソフトを使用している場合でも、このデータを利用できるので便利だ。
S1100は、モバイルモデルと謳ってはいるが、小さくて場所を取らないため、机の上に置いて、PCと接続したままにしておき、日常的に使うのに向いている。大げさなドキュメントスキャナはいらないけれど、フラットベッドスキャナでは、スキャンのたびに面倒だと感じている人なら、満足度の高い買い物になることは間違いない。
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