アドビ システムズ、イースト、ジャストシステム、大日本スクリーン製造、マイクロソフト、モリサワの6社は12月6日、コンピュータ上で扱う文字の異なる字体(異体字)の相互運用性向上に向けた「IVS技術促進協議会」を発足させ、会員募集を開始したことを発表した。
会長には、長岡技術科学大学教授でISO/IEC JTC1/SC2国際議長を務める三上喜貴氏が、副会長には国際大学GLOCOMフェローの村田真氏、マイクロソフト業務執行役員最高技術責任者の加治佐俊一氏が就任している。 IVS(Ideographic Variation Sequence)とは、文字コードの国際標準であるUnicode(ISO/IEC 10646)の一部として定められた、異体字の扱い方に関する規格。現状、さまざまなコンピュータシステムや携帯端末、携帯電話では、それぞれにUnicode、iso-2022-jp、シフトJIS等の個別の規格が実装されており、結果的に同一の文字コードでありながら異なる字体を持つ文字については、環境によって表示のされ方が異なるといった現状がある。 例えば、戸籍などに関する行政システムでは、異体字に関して各自治体が個別に「外字」として管理しており、他のシステムとの相互運用性がないといった課題がある。また、現在勃興期にあり、さまざまな規格や端末がリリースされている電子書籍や電子雑誌においても、今後、異体字の扱い方の違いで、作者の意図した文字と読者が目にする文字の字体が異なってしまうといった問題が発生する可能性がある。 IVSでは、Unicodeが定める字形選択子(Variation Sequence)という仕組みを基に開発されており、コードの後に字形選択子を加えることで、各文字が持つ複数の字体のバリエーションを厳密に指定することが可能になる。加治佐氏によれば、IVSに基づく異体字データベースとしては、アドビによる「Adobe-Japan1 collection」や、経済産業省の主導による「Hanyo-Denshi collection」などが公開されており、Windows 7やMac OS X 10.6といったOSレベルでも、既にIVSの利用が可能になっている。今後、フォント、アプリケーション、異体字の入力方法などの対応を整備することで、字形情報の保全性や相互運用性を高めていくことを目指す。 IVS技術促進協議会では、最新のUnicode仕様、その中で規定されているサロゲートエリアやIVSに関する、技術情報の交換、技術者の交流を通じてUnicodeの応用知識の習得を支援するほか、IVS技術の普及啓発、相互運用性の検証と技術情報の提供を行っていくとしている。
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