それは理論であり、表向きの説明であって、現実はそのとおりにはならないこともある。これまでにも、元がん患者のミシガン州の乗客が手荒なボディチェックを受けた際、身につけていた人工ぼうこうから漏れた尿にまみれた状態で放置されたケースや、泣き叫ぶ3歳の子供が空港の検査官から厳しく扱われたケース、ある女性ブロガーが事前説明なしに陰部を手で触れての検査を受けた後で、「性的暴力」を受けたと報告したケースがあった。
それは誰に尋ねるかによって答えが異なる。米政府は11月のブログ投稿の中で、「この問題は何年間にもわたる広範な調査を実施済み」であり、調査を担当した複数の政府機関はこれらのX線放射について完全に安全であると結論づけたと述べている。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の生化学および生物物理学教授で、米科学アカデミーのメンバーでもあるJohn Sedat氏は11月、米CNETに対し、米政府のその主張には「多くの誤解が含まれており、われわれは政府の誤りを指摘する回答を慎重に書く予定だ」と述べた。Sedat氏とほかの3人のUCSF学部メンバーは4月、米政府の科学顧問であるJohn Holdren氏に書簡(PDF)を送っている。コロンビア大学の放射線生物物理学教授であるDavid Brenner氏も、TSAの主張は科学雑誌に掲載されるような、同分野の専門家によって評価される独自調査に基づいていないと述べ、同様の懸念を表明した。
皮膚がんにかかったことがある人や、自分が電離放射線の突然変異を誘発する効果に敏感かもしれないと考える理由のある人は、全身X線スキャナによる検査を選択する前に医師に相談した方がいいかもしれない。
TSAは記録できないと述べている。スキャナの製造元であるRapiscanも同様だ。同社は先週、「弊社のシステムで保存やアーカイビングを行うことは不可能だ」と話した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果