仮想化技術の勢いが増している。ヴイエムウェアは11月9〜10日にイベント「vForum 2010」を開催。2005年に開催された同イベント(当時の名称は「Virtualization Forum 2005」)の参加者はおよそ700人。5年後の今回の参加者数は約7000人となっており、「VMware vSphere」を中心にした同社の仮想化関連製品に対する関心の高さをうかがい知ることができる。
関心があるだけではない。同社の仮想化関連製品は実際に企業に導入されている。同社代表取締役社長の三木泰雄氏は基調講演の中で、ユーザー企業の数が6000社になることを明かしている。それに伴い、同社の業績も好調のようだ。同社の2010年上半期の業績が前年同期比で102%増、つまり2倍になっているという。
仮想化技術を情報システムに役立てようという動きは、世界規模で進んでいる。米本社で最高執行責任者(COO)を務めるTod Nielsen氏は、基調講演の中で「仮想化は事実上の標準になっている」と主張する。
Nielsen氏は、IDCが行った、物理ホストと仮想マシンの数に関する調査に触れている。その調査では、2005〜2008年の間は物理ホストの方が数が多かったが、2009年を境に仮想マシンの方が多くなるとの予測を示している。同調査では、2013年までに物理ホストが750万台であるのに対して、仮想マシンが1500万台であるとの予測を立てている。仮想マシンが物理ホストの2倍という状況だ。Nielsen氏によれば、この2010年の段階でも「仮想マシンの数は1000万以上、28%の増加率」になるという。
Nielsen氏はGartnerの調査にも触れている。Gartnerは2009年12月の段階で「全世界の仮想アプリケーションの84%がVMwareのプラットフォーム上で実行されている」との調査結果を示しているという。仮想化技術分野にはVMware以外の競合企業も存在しているが、VMwareの一人勝ちと言い表すことができるだろう。
仮想化技術の発展形としてクラウドコンピューティングが存在するとNielsen氏は説明する。クラウドコンピューティングの要素技術として仮想化は大きな位置を占めており、仮想化からクラウドへの旅路は、(1)ITの生産性、(2)ビジネスの生産性、(3)IT as a Serviceという3段階を経ることになるという。
(1)のITの生産性では、主にIT部門が仮想化を要請している。たとえばハードウェアの更新時期にあたり、その課題をどうクリアするかという時に仮想化技術を活用するというものだ。サーバを仮想化することで、設備投資を減らせるからだ。具体的には10台のサーバを用意しなければならないところを、1台のハードウェアの上に仮想マシン10台用意すればいいというものだ。サーバを仮想化して集約するという方法は、そのメリットを測れるようになることで、より仮想化が進むことになるという。このITの生産性という第1段階では「20%程度のサーバが仮想化される」(Nielsen氏)という。
ビジネスの生産性という第2段階では、仮想マシンを活用することがビジネスにメリットをもたらすことが明らかになってくるという。
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