サンフランシスコ発--一般の人がこれまでに「仮想化」という言葉を一度でも聞いたことがあったとして、コンピューティングハードウェアがいっぱいに詰まった企業のデータセンターの運用に関係するもの、といったこと以上の印象が残っていることは、おそらくないだろう。
しかし、仮想化が普通の人たちにも直接影響を及ぼす時代が近づきつつある。
EMC傘下のVMwareは、仮想化テクノロジの最前線にある企業であり、同社が先週サンフランシスコで開催したVMworldカンファレンスには1万2488人の参加者が集まった。同カンファレンスでテーマの1つとなったのは、仮想化テクノロジをサーバの世界を越えて広げようとする動きの高まり、ということだった。これは第1にはPCを想定したものだが、VMwareは携帯電話上でも同社のテクノロジのデモを行った。
仮想化とは、簡単にいえば、1台のコンピュータを仮想マシンと呼ばれる区画に分けて、複数のOSを同時に実行できるようにすることだ。OSの各インスタンスは、実際のコンピュータハードウェアではなく、仮想化レイヤ上で実行される。その基盤レイヤを担当する企業は、コンピューティング業界で強大な力を持つことになる。
VMwareは、Citrix Systems、Red Hat、Microsoftなどと競合しているが、今のところはVMwareが、一歩先んじたスタート、他社との提携、堅固なテクノロジのために、市場で優位に立っている。VMwareのビジネスのほとんどは、サーバを仮想化して、企業がほとんどの時間遊休状態である多数のマシンを、フル稼働する1台のマシンに交換できるようにすることだが、同社は多くの新規市場にも参入しようと努めている。
VMwareは、サーバ市場での現在の成功を手にする前に、PCからスタートした。仮想化は、例えば開発者がソフトウェアのテストのためにさまざまなバージョンのOSをすばやく切り替えたり、ウェブページのテストのためにさまざまなバージョンのブラウザを切り替えたりするというニーズにとって有用であることが実証されている。また、VMwareのテクノロジは、「Windows」、Linux、「Mac OS X」を同じマシン上で使用することも可能にする。ただしこれは、メインストリームのニーズではない。
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