2011年7月24日、地上アナログテレビ放送は完全に停波する。リミットが近づくにつれてテレビCMを中心とした周知活動は増加し、その認知度は同調査時点で96.6%にまで高まった。「7月24日」という停波日についても91.3%が正確に回答しており、総務省もここまでのPR活動に手ごたえを感じているという。
一方、テレビ番組やイベント、CMスポットにポスター、クイズ番組の回答としても登場する「アナログテレビ停波」の情報がいまなお届いていない世帯がある、というのも事実。総務省は「こうした調査で100%という数値を出すのは難しい」とデータ統計ならではの結果であることを指摘しているが、実際、すべての人が2011年7月停波を知っているわけではない、というデータがでていることは無視できまい。
また、「対応予定がわからない理由」(全体の3.1%)のうち、わずかながら「地上デジタル放送をみるために何をしたらよいのかわからない」(3.8%)と回答している層が存在することも気がかりだ。これには山間部など難視聴地域の共聴施設や集合住宅など、やや対応が複雑なケースも含まれる可能性もあるが「高齢者の方など、本当に対応方法がわからない場合もある。重点的な対応は必要」(総務省)と、割合としてはわずかながら、情報が十分に伝わっていない層の存在が指摘されている。
これらの数値が示す最善の対処法、それは「個別訪問」にほかならない。が、総務省は依然として「まずは(メディアなど通じた)周知広報の強化。特に高齢者世帯には丁寧に」とこれまでの方針を崩しておらず、NHKもまた「番組やお知らせなどの報道、各種媒体を通じて周知、理解促進を図っていきたい」としている。
一方、今回のような調査により、個別訪問がどの程度必要なのかが見えてきた、とも考えられる。総務省は「具体的な(個別訪問世帯数を)絞り込むための調査ではなかった」としているが、メディアなどを通じたPR活動の限界値が見えてきたのは明らか。総務省テレビ受信者支援センター(デジサポ)ではNHKや民放から数百人単位の専門家を派遣して対応を強化しているが、これもあくまで受け身対応だ。
現時点で情報が届いていない世帯は、まぎれもない「情報弱者」。これを救うべく、思い切った策を展開することが期待される。
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