カリフォルニア州オークランド発--Oracleの最高経営責任者(CEO)であるLarry Ellison氏は米国時間11月8日、旧SAP傘下のTomorrowNowをめぐってSAPに起こしている訴訟で証言台に立ち、そこで、サードパーティーによるサポートを通じて最大のライバルに流れた顧客数を具体的に示すよう求められた。
Oracleは、SAPの旧子会社で現在は事業を停止しているTomorrowNowが著作権を侵害したとして、SAPに10億ドルの損害賠償を求めている。TomorrowNowは、OracleのPeopleSoftおよびJD Edwardsブランドのソフトウェア製品に対して、サードパーティーの立場でサポートを提供していた。SAPはすでにOracleの訴えを認めており、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所における裁判では賠償金の額が決定されることになっている。そのため、弁護団は損害に関する質問だけを行うよう指示されていた。
賠償金の額は、著作権侵害の結果、TomorrowNowを通じてSAPに流れた顧客数をOracleが具体的に示せるかどうかに大きく左右される。Ellison氏は黒のタートルネックにスーツ姿で証言台に立ち、TomorrowNowを通じてSAPに顧客の20〜30%が流れる可能性があったという筋書きを描こうと試みた。実際にそれだけの顧客を失ったわけではないが、それでもTomorrowNowを通じて358の顧客がSAPに流れたとOracleは主張している。
SAPの弁護団はEllison氏に対し、多数の顧客が失われる懸念を具体的な数値で示すよう迫った。Ellison氏の懸念を裏付ける電子メールや文書はどこにあるのか? SAPが2005年に行ったTomorrowNowの買収に懸念を抱いていたと述べているEllison氏はこの疑問に対し、「私はそのようなことを文字にして残すほうではない」と答えた。
それでも懸念は現実のものになったと、Ellison氏は約1時間にわたる証言の中で訴えた。しかしこれに反してOracleの内部報告は、多数の顧客をTomorrowNow経由で失ったとする主張と食い違いを見せている。さらにOracleは当時、PeopleSoftの買収により一部の顧客を失うとすでに予想していたが、実際には予想より多くのPeopleSoft顧客をつなぎ止めた。
問題の争点は、OracleがTomorrowNow経由で失った顧客数を明確に示せるかどうかだ。失った顧客の名前を1つ挙げることができるかとSAPの弁護団に尋ねられた際、Ellison氏は名前を挙げることができなかった。陪審員は、数千の顧客のうち358の顧客を失った直接の原因がTomorrowNowにあるのか、それともSAPとの競争において通常起こり得ることにすぎないのかを判断しなければならない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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