JASRAC代理人、独禁法審判でイーライセンスの管理体制を疑問視

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 独占禁止法違反(私的独占)排除措置命令をめぐる公正取引委員会(公取委)と一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の第9回審判が9月30日に行われ、参考人としてイーライセンス代表取締役の三野明洋氏が出廷した。

 JASRACに対する排除措置命令は、放送事業者などが楽曲利用を行う際にJASRACとの間で結ばれる包括契約を対象としたもの。公取委は「放送事業者が放送番組において利用した音楽著作物の総数に占めるJASRAC管理楽曲の割合が反映されていない」とし、これが新規音楽著作権管理事業者の参入を妨げていると指摘。それを「事実誤認」と反論したJASRACが応じる形で是非を問う審判が行われてきた。

 イーライセンスは2006年、楽曲の放送利用分野に進出するも参入を阻害されたとして公取委命令書にも登場する、いわば「一方の当事者」といえる存在。参入段階でエイベックスマネジメントサービスから大物アーティストの有力楽曲管理を複数任されるも、JASRAC外の楽曲として放送事業者が意図的に放送利用を回避した、との主張が当初から注目を集めていた。

 9月30日の参考人審尋においても、公取委審査官からの質問は「放送事業者によるイーライセンス楽曲回避の事実」証明に重点が置かれた。

 三野氏によれば、2006年10月のイーライセンス参入後、エフエムナックファイブ(NACK5)やJ-WAVEなど複数の首都圏ラジオ局が「極力、イーライセンス管理楽曲の使用を避ける」との方針を掲げ、実際に本来、利用されるべき有名アーティストの新曲などが使用されない事態に陥ったという。その方針は、現場でプロモーションを担当していたエイベックスの宣伝プロモーターが制作スタッフに直接聞いたほか、各ラジオ局には方針を記した内部通達文書なども出回っていた(当日、証拠として公取委側が提示した)という。

 こうした状況を生んだ背景について三野氏は、それ以前から放送事業者とJASRACとの間で結ばれる包括契約の枠外にあたる楽曲を利用することが、放送事業者にとって「追加負担」の認識を生んだためではないか、との見解を示した。見解を裏付ける根拠として当時、イーライセンスと日本民間放送連盟(民放連)が行った協議の中で「JASRAC料金にアドオンする形であれば契約できない」と発言したとする議事録なども示された。

 イーライセンスの管理楽曲が回避されていた際、新曲「恋愛写真」を発表したばかりだったアーティストの大塚愛さんに対し、ラジオ局がゲスト出演の依頼取り下げを検討する事態にまで発展。結局、エイベックスの強い意向もあって10〜12月まで楽曲使用無料化を実施、ダメージを最小限にとどめつつ、無料期間終了後の料金徴収目途が立たなかったことを理由にエイベックスはイーライセンスとの契約を解除、管理団体をJASRACに移していた。

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