しかし一方で、JASRAC側代理人による反対尋問では、当時のイーライセンスが放送事業者と契約する楽曲管理団体として十分な体制を整えていたかどうかが争点となった。イーライセンスが放送事業者側に提示した管理楽曲リストに未定曲や予定曲などが含まれていたり、使用全曲目報告を義務付けておきながら報告用統一フォーマットが契約段階で示されていなかったりといった当時の状況は「放送事業者が楽曲利用を見合わせるには十分な理由」(代理人)であり、楽曲利用回避とJASRAC包括契約との因果関係に疑問を呈する形となった。
また、放送局側による報告漏れのペナルティとして、イーライセンスは通常料金の9倍程度を請求するという仕組みをとっている。これについても代理人は「(前述の楽曲)リストがあいまいな上に、報告漏れがあったら多額のコストということでは最初から利用しないほうがいいという判断をしてもやむを得ないのではないか」と指摘。実際、首都圏のラジオ局ではそうした意見もあったとしたが、三野氏は「そういう考え方はわからない」と応じるにとどまった。
楽曲の利用回避についても代理人が「JASRAC調査によれば、大塚愛さんの『恋愛写真』は無料化以前に128回の放送実績がある」とのデータを紹介。三野氏は「そのデータを検証していないためわからない」としたが、仮に事実であれば「JASRAC管理外の楽曲であるためまったく使用されなかった」とする主張を覆すことになり、またそうした主張がデータ検証に基づいたものではないという事実を裏付ける可能性も生まれてきた。
次回審判は10月27日。放送局関係者らを招いた参考人審尋が行われる予定。
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