キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は9月29日、企業向けコンテンツ管理システム(ECM)と連携した業務アプリケーションをサービス指向アーキテクチャ(SOA)で構築できるサービス基盤「ECM拡張サービス」を10月1日から提供することを発表した。
キヤノンMJが提供する「Open Text Content Lifecycle Management」を対象にしている。ECM拡張サービスは、コンテンツの操作や管理などの機能をあらかじめWebサービス化する。Webサービスは、Java Community Processによって規定される標準仕様「JAX-WS」に準拠しており、SOAの手法を用いることでECMと連携した業務アプリケーションを構築できる。オブジェクトサービスやワークフローサービス、認証サービス、メンバーサービス、バッチサービスに区分された約70のWebサービスから構成される。
ECM拡張サービスを利用することでシステム開発者は業務アプリケーションごとに必要なECMの機能をWebサービスとして呼び出して、簡単に実装できるようになる。別の業務アプリケーション開発でも再利用することができる。新規で開発する場合に比べて、3〜5割程度の工数削減を見込めるという。Webサービスは、キヤノンMJがこれまで手掛けたECMの実績に基づいて最適な粒度設計がなされているため、実際のビジネスに則した効率的な開発が可能になるとしている。
現在、企業で活用されているECMは「部門最適システムであり、サイロ化が進んでいる」とキヤノンMJの鮫島真氏(BSマーケティング統括本部ドキュメントソリューション企画部ECM企画課課長代理)は指摘する。生産管理部なら図面管理システム、商品事業部であれば契約書管理システム、法務部では契約書管理システムと、それぞれの部門ごとのECMが乱立するとともに、パッケージだったりスクラッチ開発だったり、と保守性も悪いといわれるようになっているという。
現在はありとあらゆる文書が電子化されて、ファイルが爆発的に増加しており、ECMの運用管理の負荷も高くなっているのが実情ともいわれる。加えて、エンドユーザーからはECMの使い勝手の向上を求められている。ECMとはいっても、生産管理部が求める図面管理システムのユーザーインターフェース(UI)と法務部が求める契約書管理システムのUIが同じものでは、使い勝手が悪くそれぞれの業務効率が落ちることになる。
ECMは契約書などのコンテンツを蓄積するものであり、そこでは法令順守(コンプライアンス)の姿勢が問われることになる。不必要となったコンテンツをしっかりと廃棄したかどうかの管理が重要となってくる。
今回キヤノンMJが提供するECM拡張サービスは、ECMを業務アプリケーションと連携させるときに、そうしたECMの最近の課題に対応するものと説明する。
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