目指すは「うどんに入れる唐辛子みたいな会社」--バーグハンバーグバーグ代表シモダテツヤ氏 - (page 3)

聞き手:高橋美津、構成:沼袋さらだ2010年09月10日 15時00分

−これから新しくやってみたいことは何かありますか?

 大きな企業さんだと、新卒採用をやるところが多いですよね。今、新卒の人が少しでも引っかかるフックみたいなプロモーションを請けてみたいなぁと思ってます。

 真面目なことを話してるようでボケがちょっと入ってて読みやすいとか、その企業の持っているイメージとのギャップをきかせて興味を引いたりとか。そういったギャップとユーモアを生かして、とっつきやすい会社イメージを作り、企業を知るキッカケにつなげていきたいです。そんな風に学生さんが「企業に興味を持つきっかけ」を生み出すプロモーションをやりたいなあって思ってて、実際今いろいろ話を進めてます。

 実は、学生のころ、自分自身が就活の面白さにハマったことがありまして。グループディスカッション、グループ面接、1対1面接と段階を踏むと相手の役職も上がっていくわけですよ。グループディスカッションなんかでは嫌いなタイプもいるじゃないですか。お高くとまって、「高学歴だから滑り止めで来た」みたいな態度丸出しの。そいつをどうにかして負かすのが好きだったんです。嫌な性格だと思います。

 また、就職活動では興味を持ってもらうために必要な嘘と必要じゃない嘘なんかも学べました。自分をどこで大きく見せるべきか。正直すぎてもダメだし、嘘になりすぎてもダメで、だんだんその加減が分かってくるのが本当に楽しくて。もう楽しすぎてノイローゼになりかけましたね。自分で一人模擬面接みたいなことをやって、それを録音した音声データをパソコンに入れて、音波グラフを表示させて確認しながら「やっぱりここ声が大きかったな、もう少し静かに言ったほうがいいな」とか。完全におかしくなってた。

 それはさておき、就職のためのプロモーションで僕が一番大事だなと思うのは、そうしてフックに引っ掛かった人が受かる受からないに関係なく、その会社の「ファン」になってもらうということなんだと思います。ファンを増やすには普通の広告を見せるだけではダメで、もっと深くサービスを知ってもらう必要がある。だからなるべくそういうフックは敷居が低い方がいい。その敷居を下げるために、うまくユーモアを織り交ぜた演出をやってみたいなと。

 何でもいいんですよ。社長が会社のことを語ってる記事で真面目なことを言いながら拳銃突きつけられてるとか、代表挨拶で出てきたときに首から下が氷でガチガチに固められてるとか。とにかく「就職」とか「入社」というと、何か堅苦しくて、本来の自分を「我慢させられる」というイメージがある中で、「会社に入ったら、笑う回数だって多いんだよ」って教えてあげられるようなプロモーションがやりたいなって思ってます。

−他には何か目論んでること、ありますか?

 他社の企業サイトのホームページ上に、新聞の4コマみたいなものを提供してみたいというアイデアもあります。例えば、個性的な社長が売りの会社であれば、「社長4コマ」とか。

日暮れのシモダ氏 「どんなコンテンツにでも、どんな仕事にでも“ユーモア”を差し込めるチームになりたい」と、2ページ目と同じ姿勢で熱く語るシモダ氏。シモダ氏の熱い思いは、言葉となってとめどなく紡ぎ出され、気づくと、既に日は沈もうとしていた(画像をクリックすると全体が見られます)

 いろんなことをやってますけど、根っこの部分は「ユーモア」にすべて繋がってますよ。「カチカチ」なものを、ちょっとでも「ゆるく」して、企業さんのスパイスになればいいのかなと思ってる。

 例えば、うどんに唐辛子入れるじゃないですか。唐辛子がないと食べた気がしないって人も多いですよね。あってもなくてもいいんだけど、これがあるとすごくうどんを食べた気がするっていうものになりたい。いらないって思われてるものをユーモアに変えて、どのコンテンツであっても、どの仕事であっても差し込んでいける会社にしたいなと考えています。ちなみに、僕は肉うどんが好きです。

−最後にお聞きしたいんですが「バーグハンバーグバーグ」という社名はどこから?

 ウチの社員と漫画家の「地獄のミサワ」ってやつとで飲んでたときにその話になって、いろんな候補がすでにあったわけですよ。僕の個人ドメインが「4md」(シモダ)なんですね。で、「4md, Inc.」ってのが候補に上がってたんですけど、「コレ、ちょっとカッコ良すぎじゃないか」と。こんな社名で仕事してたら、ある日、自分らがシャレオツだと勘違いしちゃわないかと。勘違いして、ひょっとしたら「デザイナーズマンション」とか背中に彫っちゃうかもしれないじゃないですか。

 「ユーモアを作りたい会社」なのに、こんなカッコイイ名前だといつか本質を忘れてしまうかもしれんと思いまして、自分たちに十字架を負わせるためにも、もっと嫌な名前にしようと。

−それで、今の社名になったと。

 いや、そこから変な社名をみんなで考えてると、最終的に笑わせ合いになってしまいまして、その時点で一番ウケた「株式会社ルアンパパンTheサイガガーン」って名前になりかけました。

−え? 何ですか?

 「株式会社ルアンパパンTheサイガガーン」です。ただ、そこではウケたんですけど、これ、明らかに行きすぎてますよね? その場にいた一周回った人しか面白くない。なので、それまで出たアイデアの半分のところまで戻ってみることにしたんです。たぶん、そのあたりが一番大勢の人が興味を持ってくれそうな名前だということで。

 で、候補をさかのぼってみたら「株式会社バーグハンバーグバーグ」だったんです。そこで、なぜか近所のカレー屋のおっさん(メル友)にメールして意見を聞いてみたら、「バーグハンバーグバーグが一番マシ」って返ってきた。殿のお許しが出たんで、あとは「オモコロ」スタッフの中に、名前を付けるときにいつも画数にこだわって注意してくるちょっと面倒くさいヤツに相談しました。「画数、吉?」って。すると「大丈夫です! 大吉です!」って返ってきたので、じゃコレに決めようって。2日で後悔しましたけどね。重すぎますよ、この十字架。

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