目指すは「うどんに入れる唐辛子みたいな会社」--バーグハンバーグバーグ代表シモダテツヤ氏 - (page 2)

聞き手:高橋美津、構成:沼袋さらだ2010年09月10日 15時00分

−独立にあたって、ペパボからBHBに対して出資等はあったんですか?

 ないです。有り難いことにお声がけいただいたところもあるんですけど、せっかくなので、今回は自分でやってみたいなって。まぁ、2年くらい前に資本金をためるの忘れてたことに気づいて焦りましたけど、それから頑張って、生活切り詰めながらためてたら、結構なんとかなりました。

−事業としてはどのようなことをメインにしていくのでしょうか?

 定期の仕事だと、例えば技術評論社さんの運営しているgihyo.jpで4コマ漫画を連載していたり、paperboy&co.の飲食店向けホームページ作成サービス「グーペ」の中でやってる「とんかつ教室」っていうブログの運営やキャラクターデザインとかもやってます。

 あとはロリポップのメールマガジンをやらせてもらったり、フューチャースコープさんではデコメール素材の制作をさせてもらったりしてます。それと、ちょろっとポータルサイト運営のコンサル業なんかも請け負ったりしてます。

 それ以外は、プロモーションの企画や制作のお仕事が多いですね。

 我々が作っているコンテンツの中身を見ると、「ゆるい」というか「ふざけてる」というか、普通の企業にはマッチしなさそうなものばかり作ってるんですね。でも、場に合わせたギャップのセーフラインをしっかり分かっていれば、そこからこれまでは見えなかったその企業の面白さが見えてくる。

 そのためにはクライアントさんの理解も必要なんです。「やっぱりウチのイメージはこうじゃないと……」ってカタチを決めてかかって広告出すのはもったいないじゃないですか。そこのプロモーションを行う上で、出稿先のユーザー属性もしっかり見定めて、より効果的に押し込んだ方が全然効果は高いので。

−社員は3名とのことですが、どのように選んだんですか?

 これはすごく迷いましたよ。オモコロのスタッフって40人ほどいるんですけど、会社にするって決めた後、社員になってくれそうなコアメンバーに集まってもらったんです。

 「来年『オモコロ』を会社にしようと思うんだけど、いきなり全員は雇えない。仮に何人か雇うにしても苦しいと思う。最初に入る人は人柱を覚悟してほしい、それでもやる気がある人だけ来週も集まってください、解散!」ってやったら、翌週、みんな来てくれたんですよ。

 それからいろいろ下準備を始めて。ひょっとしたら助成金とか出るかもしれないって調べてみたり(笑)。税金だ保険だと調べていくと、まぁ社員ふたりくらいからがちょうどよさそうだったんですね。それが2009年の11月くらいでした。

 12月になったら、社員候補にしていたウェブディレクターをやっていた男が、いきなりそれまで勤めていた会社を辞めてしまって。会社は6月から始めるって言っておいたのに、「3月だと思ってました」とか言って。狙ってやったのかどうなのかわかんないですけどね。もう、そこまでされたらメンバー確定ですよね。覚悟決まってるし。で、もうひとりがそれまでニートだった男です。

見守られるシモダ氏 「3人の社員は、相互補完的な役割を持っている」と語るシモダ氏。1人で仕事をしているときも、まるで他の2人が後ろで見守ってくれているかのような感覚にとらわれることがあるという(画像をクリックすると全体が見られます)

 もっとも、別に情で選んだわけではなく、ちゃんと理由はあるんです。僕の場合、アイデアとかもいくらでも出せるんだけど、資料などにまとめるのがどうも苦手で、参謀役が必要だと思ってたんです。ウェブディレクターの男は適してるという判断がありました。もうひとりの元ニートは、2年くらいオモコロにいて、モチベーションがある程度の高さのところでずーっと安定してたんです。それがもう、コワいくらいに一定。黙々とモノを作り続けるんです。たいていこういうのって環境とか感情で上下動するはずなのに。それで、「よし!こいつは工場長だ!」って。

 発想を出す人、キレイにまとめる人、それを常に安定して動かすエンジン。そういうバランスで作ってみようと思ったんです。逆を言えば、それぞれが弱点を持っている。それを補い合って取りまとめて制作していけるかなという考えもありますね。

 社員は僕を含めて3人ですが、ウチには「バカ・クリエイター」がたくさんいて、それぞれのカラーが豊富で、とにかく頭が悪いものをいくらでも作れますというのが売りです。

 自社メディアのオモコロ自体がウチのポートフォリオで、その中にいるスタッフたちの個性を売り込んでいく感じでしょうか。もちろんそれだけではなく、いろんな方とホイホイ飲みに出かけますし、バカドリルとのコラボでmixiニュースにネタを毎月配信したり、オモコロの本を出してもらったりと、場を広げて、チラチラと目に付くようにすることで、会議の場で僕らのことを思い出してもらい、仕事に繋がる可能性になればと思って動いています。

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