富士フイルムは9月9日、既存のフィルム映写機で3D映画が上映できるシステム「Technicolor 3D」を発表した。同日から代理店を通じて、同システムに必要な専用レンズ「3Dスプリットレンズ」を提供している。
Technicolor 3Dは、既存の映写機に3Dスプリットレンズを設置し、シルバースクリーンに映写すると3D映画が上映できるシステム。上映用フィルムの1コマが右目用と左目用に分けられており、専用メガネを通して視聴すると3D映像が表示される仕組みだ。米Technicolorが開発した3D上映システムで、すでに北米で260スクリーン、欧州で80スクリーンに設置されている。北米では、「ヒックとドラゴン」や「タイタンの戦い」などこれまで7作品が公開されている。
富士フイルムによると、全国約3400スクリーンのうちデジタル3D上映に対応している劇場は約15%程度という。同社の関口伸永氏(執行役員イメージング事業部長)は、「話題の3D映画が次々と公開されると、シネマコンプレックス(シネコン)ではスクリーン不足に直面する」と劇場の現状を説明した。
Technicolor 3Dは、デジタルプロジェクタやサーバなどが必要となるデジタル3D上映システムに比べて、初期費用やトータルコストなどを低価格に抑えられるのが特長という。
3Dスプリットレンズは、3年契約を前提に代理店を通じてレンタルされる。レンタル方法は2つ。1つは、1スクリーンあたりレンタル料100万円、使用料が1作品あたり12万円(年間6作品まで。7作品目以降は無料)。もう1つは、レンタル料は無料だが年間6作品の上映を条件に1作品あたり20万円(同)となる。
富士フイルムは今後1年間で100スクリーンへの導入を目指すとしている。
なお東急レクリエーションとユナイテッド・シネマズが運営する劇場に導入が決まっており、米映画制作・配給会社のDreamWorks Animation SKG.、Universal Pictures、Paramount Pictures、Warner Bros.、The Weinstein Companyらの作品が11月以降に公開される予定だ。
同社の増田清忠氏(イメージング事業部映画部長)は今回のシステムについて、「劇場の1つの選択肢として提供したい」と述べた。
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