IBMは、PC所有者による独自のネットワークを活用して、飲料水を浄化する方法の発見に役立てる意向だ。
IBMは米国時間9月7日、より安全な飲料水の生成に関する一連のハイテクプロジェクトを発表した。IBMによると、飲料水は少なくとも世界の12億人にとって希少資源になっているという。
IBMはこれらの取り組みを推進するため、同社の人道的活動であるWorld Community Grid(WCG)を活用する。WCGはPC所有者たちで構成されるネットワークで、彼らがPCの処理能力の一部を寄付することにより、科学者が世界規模の問題に対処するのを支援する。WCGに参加するボランティアたちは、アイドリング時の各自のコンピュータをIBMが使用することを許可し、IBMは大規模な「ピア・ツー・ピア(PtoP)」ネットワークの一部として、シミュレーションなどの高負荷のタスクを集合的に実行する。
IBMが計画しているいくつかのプロジェクトの1つは、米国東海岸に位置するチェサピーク湾などの流域で、人間、野生生物、環境が互いに影響し合う様子をシミュレートするというものだ。その目標は、異なる集団間で競合する利害やニーズを分析することにより、流域の管理を改善する方法を見いだすことだ。
「Computing For Clean Water」と名付けられた別のプロジェクトは、浄水機能を改善する手法に注目している。中国で立ち上げるこの取り組みは、汚染された水をろ過して浄化したり、海水をより安価に飲料水に変えたりする方法を開発することを目指している。
ブラジルで始動する第3のプロジェクトは、汚染水を通じて広がる寄生虫病である住血吸虫症の治療を目的とする。IBMによると、熱帯地域で発見されたこの病気は、約2億1000万人に感染しており、毎年1万1000人から20万人の命を奪っているという。現行の薬はある程度効果があることを実証しているものの、薬剤耐性株の出現が依然として問題になっている。
WCGのメンバーはプロジェクトを進めるために、各自のPCで数学計算、仮定シナリオやシミュレーションを実行できるようにする。全体として、WCGは全世界で約60万人のボランティアが提供する150万台のPCを抱えている。水浄化プロジェクト以外にも、WCGのメンバーは、より環境に優しいエネルギーの開発、病気の治療、より健康的な食品の開発といった取り組みに貢献していると、IBMは説明した。
IBM側では、WCGの活動に必要なサーバ、ソフトウェア、技術スキルを寄付しており、ホスティングやサポートも無償で提供している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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