医薬品ネット販売をめぐるケンコーコム控訴審、東京高裁にて第1回目の口頭弁論

岩本有平(編集部)2010年09月06日 19時50分
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 一般用医薬品のネット販売を規制する厚生労働省の省令。ケンコーコムとウェルネットがこの省令の無効確認と取消、そして医薬品ネット販売の権利確認を求めた行政訴訟の控訴審第1回口頭弁論が9月2日に東京高等裁判所で開かれた。

 2009年6月に施行された改正薬事法では、市販薬を副作用のリスクが高い順に第1〜3類に分類している。省令では、このうち第1類と第2類について、“対面販売”で情報提供を前提とし、ネットなどでの通信販売を禁じている。ただし同じ医薬品を継続利用していたり、離島に住んでいたりする場合、2年に限定して販売を認める経過措置をとっている。

 一審では、省令が改正薬事法施行時の販売方法を委任したものであり、その範囲を超えて無効ではないといったことや、対面販売では購入者を直接視認して質問できる一方でネット販売では購入者に情報提供しないまま販売される可能性が高いなどとして、その訴えが却下、棄却されたことから控訴に至った。

 今回の口頭弁論では、原告であるケンコーコム代表取締役の後藤玄利氏が、改めて「インターネット販売は対面販売に比べて情報提供の点で有意に劣る」という判断が不当であることを陳述書で訴えた(陳述書の内容を抜粋したコメントは同社サイトにて閲覧できる)。

 今回の口頭弁論では原告側から控訴状のほか控訴理由書が提出されている。控訴理由書の内容については以下のとおり。

  • 対面販売が優れているとする判断は恣意(しい)的で不合理であること
  • 原判決が一般用医薬品と医療用医薬品を区別しない上、一般用医薬品の副作用を発生確率でなく絶対数で把握したことが不相当であること
  • 原判決は第1類第2類医薬品についてネット販売を全面規制することの必要性、合理性を根拠づける立法事実について何ら認定していないこと
  • 原判決はリスク(潜在的な要素も含めた危険性)とハザード(危険性そのもの)の区別ができていないこと
  • 原判決の対面販売の情報提供に対するおうような態度と、ネット販売による副作用のハザードを極端に過大視する判示部分は矛盾が甚だしいこと
  • 原判決は、個別に代理購入、配置販売など情報提供が不十分な販売方法に関しても対面販売が優れているという結論に沿うよう理屈付け使用とした結果、不自然、不合理な認定をなさざるを得なくなったこと
  • 規制がネット販売だけ極度に厳しく、配置販売や特例販売に異常に甘い。制度自体が支離滅裂で文面上意見であるがさらに平等原則にも反すること
  • 原判決は行政規制が守るべき放置行政の基本原則を知らないこと
  • 本件省令は、対面販売を原則としてネット販売を禁止する点で、薬事法の授権がないこと

 口頭弁論後の記者会見で後藤氏は、「改正薬事法施行から1年半、やむなく不条理な省令に従っている。(経過措置の対象者を除いて)販売を断ることは断腸の思い。これまで3万人以上に断りを入れ、今でも1日100人以上に断りを入れている」と現状を説明した。

 さらに、一審の結審後に発表された厚労省の覆面調査の結果にも触れ、「薬局の半数が省令を遵守していない。2類(の販売)でも50%の説明がない。対面販売は惨たんたる状況」と語った。

 次回の口頭弁論は12月2日に開催される。

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