トレンドマイクロは8月31日、個人向けセキュリティソフトの最新版となる「ウイルスバスター2011 クラウド」を9月3日から販売することを発表した。パッケージ版の価格は5980円。ダウンロード版は4980円で先行して8月31日から販売する。
最新版のウイルスバスター2011では、ウイルスの急激な増加とPCの負荷の問題を解決するために新機能「スマートスキャン」を搭載する。スマートスキャンでは、インターネット上にあるトレンドマイクロのウイルスデータベースを参照してウイルスを検出する。今回の方式では、ウイルスを検出するための定義ファイルの約80%をPC上からクラウドに移行させている。
PCへの負荷を抑制できることに加え、クラウド上で常に更新される最新の情報をユーザーは利用できることになり、ウイルスが急増した場合でも大量のデータをダウンロードする必要がないため、「リアルタイムの防御と軽快さの両立という従来のウイルス検出の課題を解決」(マーケティング本部プロダクトマネジメント課プロダクトマネージャの長島理恵氏)できたと説明している。
ウイルス検出の従来の方式は検出に必要なすべてのデータをPC上で更新するパターンマッチングだ。この方式では、新種のウイルス検出のためには、ユーザーが最新の定義ファイルをダウンロードする必要があり、対策に時差が生じる可能性があった。またウイルスを中心とするマルウェアが急激に増加するケースもあり、大量で高頻度のデータ更新が必要とされることもある。こうした状況ではPCへの負荷を考慮すると、安全性と軽快さを同時に満たすには大きな課題が残されていた。
スマートスキャンでは、トレンドマイクロのマルウェア情報データベースをクラウド上でリアルタイムに更新し、必要に応じてPCからクラウドに問い合わせる。検出に必要な最小限のデータをPCに残して、新種のウイルスの情報や使用頻度の低い情報をクラウドに置くことになる。
トレンドマイクロ取締役の大三川彰彦氏(エグゼクティブバイスプレジデント日本担当)は現在のウイルスを中心としたマルウェアについて「1.5秒に1つ新しい脅威が登場している。約92%の感染がウェブ経由」とし、ウイルスバスター2011に搭載されたスマートスキャンの背景としてこうした状況があったと説明している。
最新版のウイルスバスター2011には「ローカル相関分析」という新機能も搭載している。これは、ウイルスを検出した時に、そのダウンロード元となったURLやダウンローダの情報をトレンドマイクロに送信するというもの。トレンドマイクロで感染経路を分析することで、より効率的に脅威に対応できるとしている。
また最新版には「ブラウザガード」も搭載されている。これはHTMLファイルに埋め込まれた悪意のあるシェルコードの振る舞いを検出して、不正なウェブサイトをブロックする。加えて「データ消去ツール」も活用できる。これはファイル削除時に、そのファイルを復元できないようにファイルデータを安全に消去するというものだ。米国連邦政府が定めたデータセキュリティ基準に準じたデータ消去方法を採用しているという。
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