首都圏に住む人の電子マネー保有率が98.6%(前回調査時は82.8%)とほぼ100%に達したことが、野村総合研究所(NRI)の調査で分かった。NRIが8月26日に発表した。首都圏を除く地域でも、札幌市で75.0%(同61.4%)、東海で65.7%(同42.9%)、近畿で77.8%(同56.5%)、福岡県で68.3%(同51.8%)といずれも6割を超えたという。
また電子マネーを保有しており、なおかつ乗車券や定期券以外の買い物で電子マネーを利用している人が、各地域で過半数を上回ったことも調査結果で明らかとなった。これは同社が2007年の調査開始以来初めてのことで、決済手段として電子マネーが普及している状況がうかがえるとしている。
NRIでは、普段の買い物で最も利用する電子マネーを“メイン電子マネー”と定義した上で、利用別のシェアも公開している。首都圏では鉄道系の「Suica」がシェア33.9%でトップ。一方、札幌市と東海、近畿、福岡県では流通系の「WAON」がシェアを大幅に拡大しているという。
WAONを地域別にみると、札幌市(シェア36.3%)と東海(同31.9%)でシェアを拡大させており、「Edy」のシェアが縮小しているという(札幌市でのシェア:28.2%、東海でのシェア:33.8%)。近畿(同30.6%)は、「その他」(同12.7%)の電子マネーがシェアを落としており、WAONのような主要な電子マネーにシフトしているとNRIでは分析。福岡県(同32.6%)はWAONと「nanaco」(同17.4%)のシェアが対照的に推移しているという。
NRIの和泉隆則氏(金融戦略コンサルティング部コンサルタント)は、WAONのシェア拡大について、「これまで電子マネーを持っていなかった、もしくは持つ必要がなかった主婦などが中心に持ち始めたのではないか」としており、「イオンやジャスコなどに車で買い物に行きポイントを使うといった“生活に密着したカード”として持っている」と分析している。
実際にWAONを利用する理由として、「現金では受けられない、ポイントや割り引きのサービスが受けられるから」という回答が58.6%を占めており、「お得感が支持されている」(和泉氏)としている。
また、メイン電子マネーの月間利用金額は平均6322円(前回調査時は平均6033円)。1回の買い物で支払う金額はnanacoが636円、Edyが780円だが、WAONは1648円とほかの電子マネーを圧倒しているという。さらにWAONの月間利用金額をみても、「1万円以上3万円未満」(25.2%)、「3万円以上」(9.9%)とWAONの利用金額が大きいことが明らかになっている
NRIは今回の調査結果をもとに年間決済額を推計したところ、2010年度年間決済規模は約2兆円にのぼるとしている。
調査は6月18〜22日、北海道(札幌市のみ)、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)、東海(愛県知、三重県、岐阜県)、近畿(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)、福岡県の18歳以上の男女2250人を対象にネットリサーチサービス「TrueNavi」をもとに実施。対象とした電子マネーは、Edy、Suica、PASMO、ICOCA、PiTaPa、TOICA、nimoca、SUGOCA、Kitaca、SAPICA、nanaco、WAON、iD、QUICPay、Smartplus/Visa Touch、PayPass、JAL ICクーポン、taspo/ピデル。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」