解説:パナソニックが三洋、パナ電の完全子会社化で手に入れたかったもの - (page 2)

 GT12では、3年累計で8000億円以上のフリーキャッシュフロー創出実現を目指しており、2013年3月までにネット資金プラスへの回復を目指している。構造改革により、利益を生み出す体質となっていることも、今回の完全子会社化に踏み出す下地になっているといえよう。

「Panasonic」へのブランド統一で目指すもの

 もうひとつ、今回の完全子会社化とともに明確に示されたのが、ブランドを「Panasonic」へと統一することだ。

 電池などの一部事業や地域に関しては、「SANYO」ブランドを継続するが、「白物家電、デジタル機器などは、できるだけ早くブランドを一本化した方が利益の最大化につながる」(三洋電機社長の佐野精一郎氏)として、コンシューマー向け製品からは、今後「SANYO」ブランドが消えることになる。

 すでに三洋電機が開発した太陽電池のHIT太陽電池は、SANYOブランドに加えて、Panasonicブランドでも製品投入されているが、今後は、充電池の「eneloop」や、洗濯乾燥機の「AQUA」、空気清浄機で利用される「ウイルスウォッシャー」などの製品、技術ブランドの製品も、Panasonicブランドに一本化されことになる。

 「60年以上にわたって親しまれたブランドがなくなることは社長としては寂しい思いもある。三洋電機のプロダクトブランドに『by Panasonic』という文字がついたとしても、三洋電機の技術や気持ちはこれからも継続していくことができる」(佐野氏)

 パナソニックの大坪社長は、2008年10月の松下からパナソニックへの社名変更時にも、ナショナルブランドをパナソニックブランドに統一した経験がある。

 大坪氏は「長年に渡って親しまれてきた松下の名前、ナショナルのブランドを手放すことは大きな決断であった。だが、手放す以上の価値を得ることができるだろう」として、グローバル展開を視野に入れた社名統一、フランド統一へと踏み出した。そして、「パナソニックというひとつの名前、ひとつのブランドのもとで、グループがさらに強く結束することを目指す」とした。

 実際、パナソニックブランドへの統一から1年後には、各種調査でパナソニックブランドの認知度が世界的に高まり、国内での白物家電のシェアが上昇するなど存在感を高めることに成功している。

 今回の新たなブランド統一よって、パナソニックは、再度、新たな価値を手に入れることができるだろうか。

大坪文雄氏 写真左から三洋電機社長の佐野精一郎氏、パナソニック社長の大坪文雄氏、パナソニック電工社長の長榮周作氏

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