7月14〜16日に有明の東京ビックサイトで開催されている「ワイヤレスジャパン2010」。併催されているカンファレンスイベント「ワイヤレスコンファレンス2010」では、初日14日午後の基調講演として、ワイヤレスブロードバンド通信事業を主軸に据えるイー・モバイルの代表取締役社長であるエリック・ガン氏と、UQコミュニケーションズの代表取締役社長である野坂章雄氏がそれぞれ講演を行った。
イー・モバイルのエリック・ガン氏は、「イー・モバイル事業戦略の展開」をテーマに、モバイルブロードバンドの可能性と同社の今後の事業戦略について説明した。
まず、7月1日からのイー・アクセスとの経営統合によって、2010年度の売上高は1900億円と2.5倍に、当期利益は2倍以上となる90億円が見込まれるとしたほか、プロダクト、コスト、財務改善の3つの観点でシナジー効果があるなどとして、企業体質が強化されていることに触れた。
これまで同社がターゲットとしてきたのは、約3000万人のノートPCおよびネットブックユーザーだったが、2009年11月に発売した「Pocket Wi-Fi」によって、ニンテンドーDSや、PSP、iPod Touch、iPadといった約6600万のWi-Fi対応機種所有者へユーザー層は拡大した。さらには、764万のワイヤレスLAN市場、約100万件の規模があるPHSユーザーに対する高速データ通信への提案など、ターゲット層が幅広くなっていることを示した。
2010年6月末時点での同社の契約者数は253万として、依然として右肩上がりを続けており、そのうち95%がモバイルデータ通信のユーザーだとした。
イー・モバイルの全国実質人口カバー率は約91%。ガン氏が「特にがんばって力を注いできた」とする全国の地下鉄駅カバー率は約97%に達し、「地下鉄駅ではあと数カ月で100%を達成できる。このインフラと、Pocket Wi-Fiを活用して、iPadやiPod Touchユーザーが地下鉄のホームでネット利用できる環境を提供できる」などとした。
同社では、今回の講演で初めてPocket Wi-Fiの利用者プロフィールを公表した。「これまでのデータカードのユーザーは、30代、40代の男性ビジネスマンが中心だったが、Pocket Wi-Fiでは20代以下の男性が25%、女性が31%。つまり利用者の半分以上が若い男性、学生、女性である」とした。
Pocket Wi-Fiの投入により、ネットブックなどに限定していたセット販売の対象をゲーム機などにも拡大。女性やゲーマーなどへとターゲットを広げたほか、PCおよびモバイルコーナーに限定していた対象売り場が、AV、ゲーム機、アップル製品コーナーなどにも拡大したという。
また同社では、今年度の取り組みとして「快適化計画」を打ち出し、2010年8月から帯域制御を実施し、1日300万パケット以上を利用するヘビーユーザーに対する制御を行うとしたほか、2010年10月からはDC-HSDPAにより業界初となる42Mbpsの高速データ通信サービスを開始することを示した。
「すでに昨年7月から21Mbpsのサービスを開始しているが、携帯電話会社3社は7.2Mbpsであり、まだそこまでにも至っていない。他社との技術的なリードタイムは、1年以上の差がある。このネットワーク技術を活用しながら、次のステップでは80Mbpsの速度まで高めることができるだろう。今後数年以内には、100Mbpsのサービスを実現したい。モバイルブロードバンドの市場は、これからまだまだ大きくなる。統合効果により、イー・アクセスが提供してきた安価な固定ブロードバンドサービスと、イー・モバイルの高速モバイルサービスによる融合戦略を加速していく」(ガン氏)
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