世界レベルに追いつけ、追い越せ--Imagine Cupに2年連続出場した高専生 - (page 2)

藤本京子(編集部)2010年07月13日 12時00分

 残念ながらCLFSは、この2回戦で敗退することとなり、決勝には進めなかった。しかし、メンターとして2年連続CLFSに同行した東京工業高等専門学校 教授の松林勝志氏は、「今回ももし1回戦を勝ち抜けることができなければ、世界レベルには追いついていないのだと思っていたが、何とか1回戦を突破することはできた。決勝に残れたかどうかはわずかな差だったのではないか」と話す。

 2年連続出場し今回はチームリーダーを務めた有賀氏も「前回よりはうまくできたためベスト10まで進むことができた」と振り返る。ただし、同時に反省点として「決勝に残ったチームの作品はよりまとまりがあり、見た目にも納得感がある」と話す。メンターの松林氏も、「CLFSが技術的に劣っているとは思わないが、全体としてより良く見せる必要があったと感じている。決勝進出チームと比べると、CLFSの作品は試作品だった」としている。

 3人が口をそろえて悔やんでいたのは、準備期間の短さだ。Imagine Cupの組み込み開発部門がなくなるのではないかといううわさもあったことから、チームが活動を開始したのも2010年の年明けからだったという。リーダーの有賀氏は「もっと時間があれば、ソリューションを事前に利用してもらうこともできただろうし、より詳しい調査もできたはず」と話す。松林氏も、「単に動けばいいというものではないので、初めて見る人でも受け入れられるようなユーザーインターフェースを作る時間があればよかった」と述べた。

 時間がなかったことを悔やんではいるが、短期間でも3人は大きく成長した。マイクロソフト日本法人によって用意された事前のプレゼンテーション研修や英語研修などにより、全員のプレゼンテーション能力と英語力は確実に向上した。

大会結果からは見えない成長も

Embedded 最終日の閉会式には、全員浴衣姿で出席した(左からメンターの松林氏、久野氏、Ling氏、有賀氏)

 メンターとして冷静に3人を見つめていた松林氏に、この大会に挑んだ3人の印象を聞いた。リーダーの有賀氏は、「もともとクラスでもリーダー格。それが、この大会でもリーダーを務めたことでより堂々とし、リーダーらしくなった。チームメンバーの2人のこともちゃんと見ている」という。紅一点のLing氏については「クラスではおとなしいタイプだが、ここではとても明るく、ムードメーカーになってくれた。英語の表現力もあることから、このチームをひっぱっていく存在でもだった」。また、久野氏については「おとなしいタイプだったが、自分の言いたいことを人に伝えられるようになった」という。「皆、この大会を通して本当に大きく成長した」(松林氏)

 2011年のImagine Cup世界大会は、アメリカ ニューヨークにて開催される。来年も参加したいかとの問いに、3人は「参加したい」と口をそろえる。学業との両立の大変さは覚悟の上だが、それ以上の経験が得られるのがこの世界大会なのだ。特にLing氏は、「留学生にとって、日本の学生の代表として世界大会に出るということは、なかなかできることではない。このような貴重な経験ができて、本当に、本当によかった」と、チームメンバーやマイクロソフト担当者に繰り返し感謝の言葉を述べていた。

 メンターの松林氏は言う。「自分たちの作った製品が世界レベルと比べてどう違うのかは、参加してみないとわからない。世界大会に参加することで、自分が世界で活躍するにはどうすればいいかも見えてくるはずだ」と。そう、Imagine Cupは、若い学生が世界を体感する絶好の場なのだ。この場で体験したことは、CLFSのメンバーにとって最高の思い出となると共に、将来いかに世界で活躍すべきかの大きなヒントとなるに違いない。

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